地域のチカラ ~伴走支援の現場~
時代の流れに乗って温泉街の灯りを守り続ける
三朝温泉のシンボルとも言える三朝橋の近くにある温泉本通り。温泉街を歩いて楽しむ通りの玄関口と、数十メートル進んだ先に2店舗の飲食店を経営する足立由里子さんは、「この入り口に灯りがないとお客さんが通りの奥まで歩いてこない。やっぱり灯りがあるかないかは大事かな」と話す。
時代は変わりつつも、生まれ育った地元を盛り上げたいという思いで事業を続けている。
▼思い出のある店を引き継ぐ
実家が温泉本通りで旅館業を営む足立さん。30歳の頃に喫茶店と雑貨販売を自分で営み始め、カフェ&バーやスナックを続けてきた。平成26年に温泉街の入り口にある「茶田屋本店」が閉店。店を引き継がないかと声がかかったという。
「昔、両親がご飯を食べに連れてきてくれた店を、まさか自分がやることになるとは思いもよらなかった」と話す。
覚悟を決め、お店を引き継ぐことにした。二次会以降の利用が多い店を一次会から利用してもらおうと、大阪で修行するなどして鉄板焼き店としてオープン。すると今度はコロナ禍に直面。複数人で食べるお好み焼きをやめ、幅広い一品料理を楽しめるようにしようと料理人から料理を学びながらメニューを3倍に増やした。
「状況は変わるけど、そこで何ができるか。昔はここら辺も40軒以上のお店があったけど半分以下になってしまった。なんとかしたい気持ちでやってきた」と当時を振り返る。
▼HPも刷新。自ら出演する動画も
世の中を変えたコロナ禍で、もともとやっていたスナックをワインバーに変えるなど、柔軟に対応してきた。何かに特化した方がいいだろうと感じ、グラスワインを飲める店も少なかったことから、ワインをメインに提供するお店に変え、店名もWine+Barたんたんに変更。現在は夜の三朝温泉を楽しめる店として人気を集める。また、茶田屋でも、求められることが変わってきたという。
「旅館からテイクアウトの問い合わせが多くなり、旅館で食事をしない人が飲食店を探すことが増えた。今のお客さんは歩いて探すよりも、まずスマホで調べて電話をかけて来られることが多い」。
そこでHPを刷新しようと三朝町商工会に相談。担当者から持続化補助金の活用を提案され、助言を受けながら申請、採択となった。HPはメニューの写真を充実させ、さらに三朝温泉全体の良さも伝わるように自らも出演したPR動画を作って掲載することで、情報発信を強化し新規顧客を増やしている。
「いろんなことはあるけど、これからもお客さんと一緒に自分も楽しめる店を続けていきたい」と話す足立さんの温かい笑顔は、温泉街の灯りとともにお客さんの心に灯りをともす。
▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 主任 山田 和弘
バーのコンセプト変更や廃業する飲食店の事業承継など、外部環境の変化を捉え事業を展開されてきた足立社長。その背景には「三朝町を飲食の面から盛り上げたい」という明確な経営ビジョンがあり、テイクアウトの提供による業績向上はもちろんですが、そのビジョンの実現こそが持続化補助金の大きな取組理由でした。さらなる事業の飛躍に寄与すべく、商工会は今後も事業者に寄り添った支援をしていきます。
【事業所概要】 ■事業所名:㈱たんたん ■事業内容:飲食店(鉄板焼き、海鮮料理等) ワインバー
●お食事処茶田屋 ■住 所:東伯郡三朝町三朝温泉903-1 ■連 絡 先:0858-43-0734 ■U R L:https://chadaya.net/
●Wine+Barたんたん ■住 所:東伯郡三朝町三朝897 ■連 絡 先:0858-43-2997 |
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