地域のチカラ ~伴走支援の現場~
体をほぐす独自施術とジム新設 お客様への心配りを大切に
「ここに来て悩んでいた痛みが改善されて、ジムにも毎週通っているんです」。昨年、施術をする整体院の移転と合わせ、隣の部屋に新設したフィットネスジムは賑わっていた。「施術も、ジムも、みなさんの健康な体が維持できたらいいなと思っています」と笑顔で話すのは、代表の秋田良輔さん。自身もずっと体の痛みと付き合ってきたからこそ、親身になってお客様のケアを行うことを大切にしている。
▼軽く抑えて体を整える独自の「柔緩法」
高校、大学と本格的に野球に打ち込んだ元球児。社会人でも草野球を4年前まで続けていたが、長年、自分自身の体との戦いで、腰や膝、首の慢性的な痛みに悩まされていたという。そんな時に高校の恩師に受けた整体で劇的に変わった経験が、秋田さんの人生を変えた。
「人と会うのが好きで営業職をやっていましたが、(恩師の)先生に教えてもらいながら独立して整体師を目指すようになりました」。
2018年に開業。もともと研究熱心な秋田さんは、好きな日本古流の武術の考え方を取り入れながらオリジナルの「柔緩法(じゅうかんほう)」を考案した。
「従来の施術のイメージである揉みほぐしや強い指圧とは全く異なって、軽く抑えながら軽く揺するやり方。例えば、腰痛は立ち方の癖からくることが多く、その癖によって筋肉が不必要にこわばっていることがあります。この緊張を解いて、体を整えてあげる感覚です」。
本来の体が持つバランスや力を整える技が評判を呼び、アスリートから高齢の方までお客様は増えていった。
▼コロナで形態を見直し、事業の柱を太く
順調に顧客数を伸ばしていた最中、コロナ禍で状況は一変した。
「直接、人と会うしかできないうちの脆弱な部分が出てしまい、お客様が全く来られなくなった。その間に、どういうことができるだろうと考え、琴浦町商工会に相談しました」。
会えないのなら、会えなくてもお客様が使えて、健康維持につながる場所をつくればいいのではないかと閃いた。商工会の支援を受け申請、採択された事業再構築補助金を活用してフィットネスジムを併設し、施術と運動療法を掛け合わせて事業の幅を拡大。完全予約制で、安心して落ち着いたトレーニングができるとあって30人以上が通っている。
このほか、県内各地で団体や企業を相手にしたストレッチ教室や、手技を習得したい方へ向けた手技講座も開講し、「できるだけ多くの人に伝わるよう、もっと自分がやっていることを広げていきたいです」。
いつも見えるようにと事務所に貼っている「お客様は家族 家族のために精一杯の施術を」という言葉通り、お客様への心配りを大切に困りごとに一生懸命に向き合っている。