地域のチカラ ~伴走支援の現場~
おいしく栄養たっぷりの黒らっきょうを世界へ
つややかな実を噛むと、むっちりと弾力があり甘味と香ばしさが広がる。真っ黒な見た目とのギャップに、驚くこと間違いなし。鳥取市福部町の井上農園が作る黒らっきょうは、ここにしかない唯一無二の味が楽しめる。
▼試行錯誤と工夫で、初めてのおいしさを実現
黒らっきょうは、生のらっきょうを特別な方法で加熱する加工食品で、鳥取県が開発し、製造特許技術を持つ。無添加だが加熱で黒くなり、らっきょう特有の香りがほとんどなく、果実のような甘味がある。血液をさらさらに保つシクロアリイン(ポリフェノールの一種)が生のらっきょうの約2倍、抗酸化作用は約20倍と栄養価も高い。
砂丘らっきょうを生産する井上農園は、もともとは黒らっきょうの加工業者にらっきょうを提供していた。業者の廃業を受け、平成27年から加工も行うようになった。
3代目の井上義大さんと妻の紗智子さんは、試行錯誤し研究を重ねて県の加工法を改良。加熱温度や器具の工夫で、糖度は約40度から60度以上に増えてプルーン並みになり、味のばらつきもなくなった。衛生面も改善し、賞味期限は6か月から1年に。また、らっきょうを知り尽くした生産者だからこそ、加工に最適な時期のらっきょうを使うことができ、類似品に負けないおいしさにたどりついた。
▼SNSで情報発信、全国へ、世界へ
ネットショップや道の駅などで販売を始めると、「甘くて美味しい」「続けて食べたい」と好評で、リピーターも増えた。フランスや香港からも「販売したい」と引き合いがあり、売上げはじわじわと増加している。
さらに知名度を上げようと、ネットでの情報発信を考え、活用できる補助金等について鳥取市東商工会に相談。販路開拓に活用できる持続化補助金を申請しようとするも締切は間近に迫っていたが、。義大さんの熱意に心を動かされた担当者の支援を受けながら申請書を作成し、申請した。義大さんは「すごいな商工会!」と感心したという。「商工会から多くの情報を得られて助かっています」と話す。
採択された持続化補助金を活用しHPを作り直して、SNSも開始。それを見た東京のフランス料理店からさっそく声がかかり、定期的に販売するようになった。栄養面だけでなく、新しい食材としても注目されている。
「“鳥取といえば黒らっきょう”と言われるぐらいに、認知度を上げたい」。井上さん夫妻は、さらに良い商品を目指し研究を重ねている。
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 係長 草刈 陽子
「“完熟黒らっきょう”の知名度を上げ、販売強化したい」と、持続化補助金の活用の相談を受けたことで支援が始まりました。
手間と愛情をかけ栽培された自家製の砂丘らっきょうを使用し、改良に改良を重ねられた黒らっきょうは、甘くておいしくておススメの逸品です。
全国・世界の方に味わっていただきたいという井上さんの想いを実現するため、商工会は今後も積極的な販路開拓支援に取り組んでいきます。
【事業所概要】 ■事業所名:井上農園 ■事業内容:野菜漬物製造業 ■住 所:鳥取市福部町海士165-5 ■連 絡 先:0857-77-4552 ■U R L:https://amaqra.com/ |
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