地域のチカラ ~伴走支援の現場~
並んででも食べたい 受け継がれる名物チャンポン
鳥取県日野町の代表的なスポットといえば、金持神社やオシドリ観察小屋であるが、新たに日野町へ訪れる人たちの目当ての1つとなっているのが、SNSを中心に口コミで話題となった味処四季の名物「チャンポン」だ。
創業者である父から店を引き継いだ山中ユカリさんの作る「チャンポン」の人気は、平日でも麺が売り切れるほどで、地元住民だけでなく、遠くは広島県や岡山県から食べに来る人もいる。昔からお客様の胃袋をつかんできた名店は、今なおその味を守り続けている。
▼SNSから広がった「チャンポン」人気
「もともと中華屋ではないんです」と笑う。創業者の父・生田俊一さんは日本料理を学び、その丁寧な仕事ぶりが根底にあるが、ラーメン好きであちこち食べ歩いた経験をもとに考えついたのが四季のチャンポンだ。
運ばれてきた瞬間に、まずそのボリュームに驚く。麺を覆い尽くすほどのあんかけスープは、肉や新鮮な地元野菜など10種類以上の食材が絡み合い、旨みとともに胃袋に消える。なんとも言えない優しい味は、麺だけでなく、ご飯にも合う。
「創業時からのメニューですが、SNSでたくさんの人に知ってもらえるようになって、この10年くらいで看板商品に。口コミで遠くからもどんどん来てくださって驚きました」と話す山中さん。ポロシャツの背中には大きく「チャンポン」と書かれている。
幅広い料理を出せるとあって昔は夜の宴会営業も多かったが、5年前に改装してランチタイム主体に切り替えた。連日、列を作る人気ぶりでお客様の9割がチャンポンを頼まれるという。定番に加え、白味噌、塩の3種類があり、麺の下にご飯が入っているライスチャンポン、今年は冷製チャンポンも登場。お客様の笑顔を想像すると、ついつい盛り付ける量も増える、と笑う。
「お腹いっぱいになってもらいたいし、喜んでもらいたい。それだけです」。
▼自動レジの導入で生産性向上
「父が体調を崩したことがあって、お店が回らなくなったんです。人手不足もなかなか従業員を探すのも大変ですし、さらに飲食業なのでコロナ禍での心配もありました」。
そこで日野町商工会の浦辺主任に相談。人手不足を解消してサービスの質を落とさないこと、そして、コロナ禍でできるだけお客さんとの接触回数を減らせることを考え、小規模事業者持続化補助金を活用し、デジタルの自動精算機レジを一年前に導入した。
「私たちもお客様も段々と慣れてきて、便利さに助けられています」。
注文もスムーズになって料理提供の時間も短縮できたことで、厨房の作業効率の向上につながった。写真付きでメニューを選んでもらえ、注文間違えも減った。また、英語表記もできるとあってインバウンド需要で外国人への対応ができるのも心強いという。
「時代に合わせて変化しながら、お客様に満足して帰ってもらえたらそれが嬉しい。そのためにも、とにかくチャンポンの味は守っていきたいですね」。
技術進歩の恩恵も受けながら、今日もその味を守り続けている。
▼経営支援専門員の声 西部商工会産業支援センター 主任 浦辺 貴広
四季さんへの支援はまさに対話と傾聴を意識して行いました。来店するお客様も多く日々忙しい中での支援でしたが、ローカルベンチマークを活用し質問を繰り返しながら見えていなかった課題を掘り起こしていきました。DX化に取り組んだことで滞在時間が減りより多くのお客様に来店をいただいています。今後は収集されたデータをもとに次の挑戦に取り組んでいける支援を行いさらなる発展に協力をしていきます。
【事業所概要】 ■事業所名:味処四季(㈱四季) ■事業内容:飲食店 ■住 所:日野郡日野町野田277-8 ■連 絡 先:0859-72-1586 ■U R L:https://chanpon-shiki.business.site/ |
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