地域のチカラ ~伴走支援の現場~
多角化経営の事業承継
株式会社ジェミニ物産は1972年の創業以来、業務用リネンサプライやガソリンスタンド経営、保険代理店など、多角的な経営を続けている。
現社長の藤井啓介さんが就任したのは2022年。父の文雄さんが1975年から経営者として事業に関わってきたが、時代の変化に加え、コロナ禍で先行きが不透明になり、創業50周年を機に事業を承継した。円滑に承継が行えるよう、藤井社長も税理士との話し合いに同席するなど、準備に数年を費やした。
▼事業承継を経て、新しい展開も
多角化経営のため、業種ごとに必要な対応が異なる。ある程度は集中することも必要と、業務用リネンサプライ部門を主力に据えた。近隣に大手同業者も少なく、県内に加え岡山県や島根県の旅館、ホテルなど、複数の取引先を有する。
一方で、一般客が対象のクリーニング店やコインランドリーの経営、クリーニング機器の買取・販売と、関連事業も展開する。コインランドリーは近年急増しているが、同時にエネルギーの価格高騰等によるコスト増で廃業する店舗から機械の引き取り依頼も増えているため、自社でリユースしたり、同業者向けに販売したりと活用している。
事業承継は順調だったものの、コロナ禍の前後で同社を取り巻く環境は大きく変わった。「今は暴風雨のような世の中で、そこを泳ぎ切ることが大切。変化に対応していくためにも承継して良かった」と藤井社長。
▼倒れにくい会社を目指し、商工会と共に
メイン事業のリネンサプライは、機械化しきれない作業もあり、多くの人数が必要だが、慢性的に働き手不足が続いている。少人数で仕事を成立させる方法を探っている中、承継をチャンスと捉え「この機にステップアップを」と北栄町商工会の藤井陽介主任に相談し、事業承継・引継ぎ補助金を活用した書類のデジタル化を進めた。「商工会には継続して支援していただいている。サポートの深度が違う」と藤井社長は話す。
これまで納品書、請求書などすべての伝票が紙に手書きだったものが、パソコンに入力する形に変更することで労力やミスを減らしており、クラウド活用や経理システムとの連動を目指している。職場環境の改善で「働く人の生活がしっかり成り立つようにしたい」との思いがある。
多角化ゆえにあらゆる風を受けるジェミニ物産。藤井社長は、風の強さや向きを読むことで倒れにくい会社を目指す。「見通しの悪い時代が続きそう。そんな時こそ商工会の力を借りたい」とたくましく前進する。
▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 主任 藤井 陽介
「色々と課題があり助けてほしい。」この言葉をいただいたのが令和元年の事でした。支援中には、新型コロナウイルスや燃油高騰等の様々な環境変化に対応していく必要がありましたが、社長の柔軟な考え方を共有しながら共に乗り越えることが出来ました。事業承継を終えて新たなステージに突入しましたが、まだまだクリアしなければならない課題はある為、ともに悩み、喜びながら支援を継続していきたいと考えています。
【事業所概要】 ■事業所名:㈱ジェミニ物産 ■事業内容:リネンサプライ業、クリーニング業、 コインランドリー業、石油販売、 保険代理業、洗濯機器買取販売 ■住 所:東伯郡北栄町西園360 ■連 絡 先:0858-37-6210 ■U R L:https://www.gemini-pr.com/ |
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