地域のチカラ ~伴走支援の現場~
木と鉄で長く使える家具を 智頭町にIターン
智頭町岩神のRincraft(リンクラフト)は、木と鉄を使った家具づくりや床や戸などの造作工事、内装工事を手掛ける。代表で職人の坂井勇耶さんは和歌山県出身。少しずつ希望を叶えながら、岡山県西粟倉村を経て智頭町にIターンした。
▼無垢の家具に惹かれ西粟倉村へ そして念願の独立
ものづくりが好きな坂井さんは、和歌山県の家具製造会社で店舗の据え付け家具などを作っていたが、無垢の家具に惹かれるようになった。削った木を接着剤で合わせる集積材に対し、一本の木から切り出した無垢材は、温かみがあり木目や色が美しい。
勤めて7年が経った頃、知人の紹介で、主に無垢の家具を作る西粟倉村の会社へ転職。村内に住み、買い物や外食には車で20分程度の智頭町によく出掛けた。住まいを替わる際に智頭町の物件を紹介され、転居。西粟倉村へ通勤した。
「いつかは独立したい」と考えていた坂井さん。西粟倉村で3年勤め、30歳になるタイミングで、家族の後押しもあり「今しかない」と退職。半年間、ポリテクセンター鳥取で溶接技術を学び、2023年3月に智頭町で起業した。
起業の際、補助金について役場を尋ねたところ、智頭町商工会を紹介され、相談しながら事業計画作成や補助金申請などの支援を受けた。「開業までの道筋を一緒に歩んでもらった」と坂井さん。町としっかり連携してくれたことも心強かった。
▼丈夫な家具を作り、長くサポートを
社名のリンは、鱗が整然と並ぶイメージから漢字の音読みを取り、クラフト(工芸、技術)と繋げた。現在は間借りした臨時の作業場で家具を作ったり、大工職の手伝いをしたりしながら、加工機械を探すなど環境整備中だ。
家具造りの魅力は、「長く使えるものを制作できること」と坂井さん。無垢の家具ならなおさら、表面が傷ついても削ってリメイクが可能だ。販売後もサポートを続けたいという。
起業前に溶接技術を学び、木と鉄とを組み合わせた家具も制作する。鉄が加わることで、家具の表情が変わり魅力が増す。杉の町である智頭の木材にも興味がある。「何かの形で活用できれば」。坂井さん自身の、そして顧客の望みを形にするため、さまざまな方策を探っている。
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 濱﨑 和幸
智頭町への移住・創業をきっかけにRincraftさんの支援が始まりました。創業にあたっての事業計画の策定、町の補助金申請支援などを行いました。今まで従事していた会社の経験と起業前に学んだ溶接技術を活かし、鉄と木を掛け合わせた家具製造も手掛けるなど、様々なお客様の要望に答えようとする坂井さんを今後もサポートできればと思っています。今後も身近な経営相談相手として、商工会は支援を継続していきたいと思います。
【事業所概要】 ■事業所名:Rincraft ■事業内容:家具制作(木工・鉄工)、造作・内装工事 ■住 所:八頭郡智頭町岩神6 ■Instagram:@rincraft_furniture |
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