地域のチカラ ~伴走支援の現場~
高い技術力で配電盤製作 事業承継を経て組織力を上げる
ビルや商業施設で使用する電気を、制御・管理するための配電盤などを作る有限会社平木電機産業。卓越した技術力と積み重ねた経験で、取引先からの信頼も厚い。事業承継を経て、さらに強い組織へと変化を続けている。
▼安全で高レベルの製品を生み出す
同社は現社長の平木展行さんの祖父が創業し、二代目の父・修さんが1984年9月に法人化した。
発電所で作られた電気を、変圧し分電してオフィスや家庭で安全に使うには、様々な制御装置が必要となる。平木電機産業は、産業用の高圧受配電盤や制御盤などを設計し、製作している。設置場所や目的はそれぞれ異なるため、すべて特注品で、複雑な配線も手作業で組み立てる。ネジの締め付けが少し緩いだけでも、漏電や火災に繋がる恐れがあるため、高い技術力が求められる。その製品は、タンカー船など特殊で過酷な状況でも十分に力を発揮するレベルの高さで、県外の業者から名指しで注文が入るほど。
▼突然の事業継承も、商工会との準備が役立った
平木社長への事業承継は想定外のタイミングだった。パワフルに会社を率いていた修さんが体調を崩して入院し、急遽社長代理となった9か月後の2022年9月、会社の設立記念日に正式に代表取締役となった。
自身は10年間同社に従事していたが、引き継ぎの機会もなく、入院当初は修さんに相談も出来なかった。「自分でなんとかするしかなかった」と平木社長。資料はあっても、その数字の根拠がわからない。パソコン内を調べ回って紐づけるなど、手探りの毎日だった。仕事相手には頭を下げて回ったが、幸いにもほとんどが親切に対応してくれた。平木社長は「40年の信頼と実績のおかげ」と感謝する。
また、八頭町商工会の支援を受けながら事業承継計画を作成した経験も助けとなった。心の準備ができたため、「その経験がなかったらパニックになっていたと思います」と平木社長は話す。
三代にわたり家族経営で奮闘してきたが、徐々に切り離すことを考えている。長年の経験で培った技術力が会社の強みであり、「誰がやっても動かしていけるようにしたい。それが本当の意味での法人化だと思うんです」と平木社長。「今後は業務を体系的に整え組織を強化し、会社で進むべき方向を明確にしたい。皆で楽しく働き、特色も出していきたい。今の技術力で、やれることはもっとある」と計画は膨らむ。
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 中居 真里子
きっかけは、「いつか」の事業承継の支援先掘り起こしの一環でした。計画策定やセミナーへ参加され、「まさか」の事業承継。断片的でも知識があったからパニックも最小限だったと社長。現在は、時代に沿った改革にも積極的に取り組まれる姿に感服しつつ、いつでも商工会に聞いてください!と様子を伺っています。何かの時には一緒に考えながら、今の発展はもちろん、「いつか」や「まさか」の備えの一助に繋がる支援に務めます。
【事業所概要】 ■事業所名:㈲平木電機産業 ■事業内容:配電盤・電力制御装置製造業 ■住 所:八頭郡八頭町大門12-2 ■連 絡 先:TEL 0858-72-0630 ■U R L:https://www.hiragi.co.jp/ |
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