地域のチカラ ~伴走支援の現場~
少年野球の監督と居酒屋の店主 二刀流を楽しみながら
店内の壁には自らが指導する少年野球チームの写真がずらり。「にぎやかでしょう。やっぱり好きなものに囲まれていた方がいいじゃないですか」。「かめや」と書かれた野球帽を被った藤井章太さんは快活に笑った。息子の少年野球チームの監督をするために転職。昨年7月に先代から引き継ぎ、居酒屋を切り盛りしている。「料理の楽しさにも目覚めましたし、お客さんと野球の話で盛り上がるのも楽しいですね」。今、充実した日々を送っている。
▼監督を引き受け、飲食業に挑戦
監督を引き受けたのが4年前。練習に行けるようにするため、勤めていた製造業の会社を退職。そのことを知った保護者仲間だった先代経営者から誘われ、最初はアルバイトから飲食業界に飛び込んだ。「監督をやるなら本気でやりたかった。料理はたまに家族に振る舞うくらいだったけど、やってみようと。魚を捌いて刺身にしたり、煮込んでみたり、やり出したらこだわる方なんですよ」
昔から言われたことをやるだけよりも、自分なりのやり方を工夫するのが好きだという。その好奇心や創造力で「仕事って大変だけど、料理はめんどくさいとか思ったことがない」と、のめり込んでいった。
取材中に用意してくださった一番人気のだし巻き。口に入れた途端、柔らかな食感と出汁の旨みが広がった。
▼人が喜んでくれ、楽しい場所に
1階に最大20人、2階は宴会場で20人までの利用が可能(要予約)。アットホームな雰囲気が観光客にも地元客にも受け入れられ、人気を集めている。
「昔からその場が楽しくなるのが好きなので、こうやって自分の料理をおいしいって言ってもらえるのも嬉しいですね。昼は野球、夜は居酒屋。休む時がなくて大変じゃないかと人に言われるけど、楽しいことしかしてないので全然大変じゃないんです」
店の経営も当然初めてだが、「不安なく仕事ができているのは商工会の担当である山田さんのおかげ」と信頼を寄せる。経営面や事務処理のことでアドバイスをもらい、助けてもらっているという。「お客さんと話をするのが好きだし、楽しんでもらいたい。経営者としてはもっと売り上げのことを考えなきゃいけないけど、監督も一生懸命できる環境だし、楽しくやれています」
監督と居酒屋の二刀流。どちらも楽しみながら三朝を盛り上げる。
▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 主任 山田 和弘
いつも明るく前向きで周りを楽しませてくれる藤井さん。その人柄はもちろん、「おいしい料理を食べてもらいたい!」という真摯な姿勢も人気店たる理由の1つかなと。そういった藤井さんの強みを活かした店づくりのお手伝いが出来たらと考えています。いつの日か藤井さんが指導された子供たちからスター選手が生まれることを期待しつつ、商工会はこれからも地域の事業者に寄り添った支援を行っていきます。
【事業所概要】 ■事業所名:居酒屋かめや ■事業内容:飲食業 ■住 所:鳥取県東伯郡三朝町三朝972-5 ■連 絡 先:0858-24-5330 |