地域のチカラ ~伴走支援の現場~
中古品に新しい役割を
ONE LINE GLOBAL(北栄町)は中古農機具の買い取り・販売をはじめ、ウェブサイトの制作やコンサルティングなど様々な事業を手掛ける。2023年からは輸送コンテナを改修・改装し、店舗や倉庫として販売を始めた。代表の矢追勝之さんは、自由な発想と行動力で次々とアイデアを形にしている。
▼ネットで農機具売買を
矢追さんは、前職の会社員時代を含め、中古農機具の売買で約25年の経験を持つ。2018年に独立し、農家などから仕入れ、輸出商社などへ販売していく中で、何をどこに販売することで最大限の価値が付くのか何をどこへ販売していけば良いか気づいた。中古農機具の販売先は、国内外の中古業者や輸出商社など複数のルートがあり、売れ筋の農機具も異なる。そこで2021年、売り手と買い手を仲介する中古農機具専門の売買サイト「リセルズ」をオープン。
売りたい農機具を査定に出すと、買い手となる複数の国内業者が一括査定してくれ、売り手は最高額をつけた業者に販売できる仕組み。メールや電話で査定でき、国内ならどこからでも利用可能。多様な業者が参加しているため、故障した農機具でも売り先が見つかることが多く、好評だ。
▼コンテナで新空間を
中古農機具の輸出は、海上コンテナを使う。「他にもコンテナの活用方法がないかと考えてときに、費用的にリーズナブルなコンテナハウスを使用したお店が増えている」ことを知った矢追さんは、中古コンテナを店舗や事務所として改修・改装する事業を始めた。そして、県の補助金を活用するため商工会に相談。もともと知人からの勧めで商工会に加入していたが「情報提供や助成金申請の支援など、頼りになります」と矢追さん。
コンテナは丈夫で耐久性に優れ、好きな位置に窓やドアを取付けなど好みで改造できる。一般の建築物に比べ移動や設置も簡単で、費用や工期を抑えられる。起業したい人や、2つ目の店舗を持ちたい企業、さらに新型コロナ禍を経て、独立した空間を確保したい場合にもぴったり。
矢追さんは、様々な事業主との繋がりで外構業・大工・内装業・電気工事業を営んでいる昔からの仲間たちと協力しながら顧客の望む空間を提供している。
すでに数個のコンテナが、会社の倉庫やテイクアウト専門店として生まれ変わった。矢追さんは「いずれは複数の店舗が集まるコンテナヴィレッジを」と、町のにぎわいづくりに期待を寄せる。
農機具もコンテナも、中古品の次の一手を考えて価値を延ばす。そのためにまず行動し、仕事の幅は自然と増えた。「仕事でのスキルや仕事以外の趣味などの得意することをうまく発揮できていない人が多い。それぞれの得意分野やスキルを活かせる場を作っていきたい」と話す矢追さんは、一歩踏み出せない人の背中を押し、仲間を増やして活動を続ける。
▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 主任 岩見 誠治
矢追さんの発想力をカタチにするために事業計画策定を行ったことが支援のきっかけとなりました。矢追さんは、様々な環境変化に見据えながら新しい事業を考えております。複数の店舗が集まるコンテナヴィレッジの構想もあり、矢追さんの想い・考えを実現するためにも、矢追さんと一緒に考えて伴走しながら支援を継続していきたいと思います。
【事業所概要】 ■事業所名:ONE LINE GLOBAL ■事業内容:機械器具小売業(自動車、自転車を除く) ※中古農機具販売 ■住 所:鳥取県東伯郡北栄町土下61-4 |