地域のチカラ ~伴走支援の現場~
ICT化で業務効率が1.36倍 ハイブリッド測量機を導入
建設現場で測量業務を行う井川技研(西伯郡南部町阿賀三七二、﨏畑将隆代表)では、ハイブリット測量機導入による作業効率化で、施工時間の短縮化を行った。
井川技研は、﨏畑代表が以前に勤務していた職場から、取引先を引き継ぐかたちで令和元年に創業した。
「前の会社は、突然、社長が亡くなられて、数人いた従業員も解散して廃業しました。当時は業界から離れようと思ったのですが、複数の取引先から『個人でするなら引き続き仕事をお願いしたい』と頼まれ、『今までお世話になった取引先を困らせるわけにはいかない』と私が仕事を引き継ぐことにしました。経験や技術が大切になる作業なので、すぐに知らない会社に任せるとはいかないんです」と﨏畑代表。
測量業務は、土木建設工事の根幹を担っているため継続的に仕事が見込まれるが、公共事業の減少や高齢化が要因となり、測量業務従事者が減少している。それにより業務効率化や従事者の育成が急務となっている。
﨏畑代表は「近年の温暖化で、外での仕事がさらに過酷になっている。炎天下の中、長時間作業することは従事者の業界離れの一因にもなり得る。ICT化を進め、業務環境の改善をして作業員の業界離れも緩和していきたい」としている。
事業のICT化を進めるため、南部町商工会の支援を受け「鳥取県産業成長応援補助金」を活用した。補助金で導入したのが、自動追尾型トータルステーション(ix―1205)と、リモートキャッチャー(RC―PR5A―H1)、電子野帳プログラム(SDR8サーペイ)。
測量業務を行うには、測量点からの距離や角度を計測する『トータルステーション』と、測量点の目標物になる『プリズム』に各1人ずつ必要だったが、自動追尾型の同機とリモートキャッチャーを使用する事で、一部の工程を一人で行うことができ、工程の同時進行が可能になった。また、計測データを書き写す『野帳』を電子化することで、自動計測したデータを自動処理し、現場で確認できるようになり、すでにデータ化されているので後工程の事務作業も簡略化できた。ICT化することで、1工事あたりの時間効率が1.36倍に上がったという。
﨏畑代表は「建設現場でもICT化の流れが速い。今後はドローンでの測量やレーザースキャナー測量機を用いた3Dデータにも挑戦していきたい。どんどんICT化を進めています」と今後に意欲をのぞかせている。
【出典】株式会社 山陰政経研究所 旬刊政経レポート令和6年9月15日号
▼経営支援専門員の声 西部商工会産業支援センター 主任 長谷川 由美子
﨏畑代表は、勤務していた測量会社の突然の廃業で依頼先を失った取引先からの要望で、令和元年に建設現場で測量業務を行う井川技研を開業。開業から商工会の支援が始まりました。
「鳥取県産業成長応援補助金」を活用して事業をICT化する設備を導入し、作業効率アップ等を実現。測量に限らず、どの職業でも近年は業務方法が大きく変化する時代において、変化に柔軟に対応すべく、点から面の測量に対応するためにドローンの操縦免許も取得済み。
商工会は、﨏畑代表の想いを実現できるよう全方面で支援してきます。
【事業所概要】 ■事業所名:井川技研 ■事業内容:測量業 ■住 所:鳥取県西伯郡南部町阿賀372 |