地域のチカラ ~伴走支援の現場~
母から娘へ事業承継、客層若返りも
昭和60年創業のパーマハウスきたむら(鳥取市鹿野町今市六七〇-六、北村瞳代表)では、令和5年に母から娘に事業承継を行い、『恋愛相談も出来る美容室』として生まれ変わった。
▼『恋愛相談も出来る美容室』
「美容と恋愛は親密度が高いんです。大阪で美容師として修業中、結婚相談所でも働いていたので、美容室を利用されるお客様から相談されることも多かった。美容や恋愛で悩んでいる女性を笑顔にしたいんです」と北村代表。
美容室利用時も相談できるが、同氏は恋愛講座も開催しており、オンラインや直接面談で恋愛相談だけすることも可能だ。定期的に開催しているZoomセミナーや、大阪での直接面談では、恋愛でうまくいくマインドセットを中心に自己啓発の口座を行っている。そのため、夫婦での講座受講もあるそうだ。
「夫婦間にもワクワクさせることが必要です。出会いや結婚を最終ゴールにせず、夫婦間の継続も考えてほしいです。アメリカではコンビニ感覚でカウンセリングサロンがあり、夫婦やカップル間でトラブルがあれば気軽に相談しに行きます。そのように私も気軽に相談してほしいです」とした。
事業承継は鳥取市西商工会の支援を受け、税務上の不安を専門家に相談。さらに補助金を活用し、店舗改装や看板の作成、SNSでの情報発信強化をし、客層の若返りを図った。
「店舗改装の時に創業者の母と大揉めしました。母は、壁を取り除く大規模改修に大反対。今まで大切にしてきたお店を改装するだなんて、すぐには賛成できないですよね。金銭的な不安もあったと思います。強引に押し切ってもよかったのですが、改装の必要性を時間をかけて説明し、最終的には納得してもらいました」。
そうまでして北村代表が作りたかったのはキッズルーム。子育て世代にも気軽に来店してもらえるようにとの配慮から新たに造ったものだ。このような改装やSNS集客のおかげで、着実に客数を増やし、その数は前年比125%となった。
「母は長年、お店を営んできた経験があります。お客様の数も未だに母の方が多い。しかし私も負けじとインスタを中心に集客をし、徐々にお客様を増やしています。インスタには、他のアカウントと関連付けて投稿できる機能があり、お客様に当店のアカウントを関連付けて投稿してもらったりしています。インスタで知っていても、初めてのお店には、一歩が踏み出せない人も多いんですが、「友達や知人が知っている」という事でお店を身近に感じてもらうことが出来るんです」とした。
今も月に1度は大阪に出向き技術を磨いているという北村代表は、「都市部のトレンドをいち早く鳥取に届けたい。大阪と繋がりがある私だからこそ出来ることがあります。美容と恋愛を中心に県外地域と地元を繋げる試みも進行中です。もっと町おこし、移住支援などのイベントもできたら」とした。
【出典】株式会社 山陰政経研究所 旬刊政経レポート令和6年10月5日号
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 小林 祥樹
支援のきっかけは、大阪で美容師されていた瞳さんのUターンでした。そこから事業承継支援がスタート。商工会が間に入りお母様と瞳さんのそれぞれの想いをヒアリング。当初は事業承継という形態だけでなく、業務委託や面貸しという方法も検討し、専門家のアドバイスもいただきながら、お互いが納得のいく形での事業承継に繋がりました。「外美も中美もキレイに!」という瞳さんのビジョンを共有し、美容部門も恋愛部門もさらなる飛躍を目指し、今後も事業者に寄り添った支援をしていきます。
【事業所概要】
■事業所名:パーマハウスきたむら
■事業内容:美容室
■住 所:鳥取市鹿野町今市670-6
■インスタグラム:https://www.instagram.com/hokuso/