地域のチカラ ~伴走支援の現場~
暮らしの節目を飾る一枚を、緑の中で
岩美町大谷のSHIRO NO HACOは、澤和宏さん美樹さん夫妻が営む写真館だ。自然光が入る白いスタジオや、砂丘や海岸での撮影が人気だが、庭の木々を整備したことで、ガーデンウェディングフォトの問い合わせが急増している。
▼光あふれる写真館
代表の和宏さんは、カメラマンとして、結婚式場でブライダル関連の撮影を約10年にわたって担当していた。2021年に独立し、同じ会社でヘアメイクを担当していた妻の美樹さんと共に、写真館を運営している。
結婚や七五三、成人式など暮らしの節目の記念写真や、家族の集合写真の撮影が多い。写真館の撮影スタジオは、窓がない場合が多いが、澤さん夫妻は「自然光で撮影したい」と大きな窓を設けた。スタジオに置いた、絵になる大きなシンボルツリーは、季節ごとのドライフラワーなどで作っている。
鳥取砂丘や岩美町の海岸など地元の豊かな自然を背景にした写真も好評だ。和宏さんは「スタジオで、背景に何もない写真もいいですが、外なら自然な姿を撮影できます」と話す。無機質な砂丘やざらざらした岩肌が、繊細なドレスを引きたてる構図は新鮮で、ここだけの写真が撮れる。
▼庭を整備し、緑を背景に自然な姿を
さらに、ブライダルフォトの幅を広げようと商工会に相談し、ガーデンウェディングの撮影ができるよう、庭の改修を決めた。整備の方向性や、活用できる補助金について担当者と話し合い、「予算の組み方など、お世話になりました」と和宏さん。庭の樹木を大幅に増やし、フェンスなども設置して、2023年3月から使用を始めた。
樹木は多様で、ピンクの花が愛らしいサルスベリや、日差しや病害虫に強いシマトネリコなど、「冬でも撮影できるように」と落葉樹と常緑樹とを取り混ぜている。木によって緑色も異なり、枝の付き方で雰囲気も違うからと、現在も種類を増やしている。
庭の整備後、SNSでの発信に力を入れると、県内外からの問い合わせが一気に増え、実際の撮影件数も予想以上に。撮影後に「庭が気に入った」と次の予約を入れる人も多く、リピーターも増えた。「お子さんなら、木の枝や葉などで遊んでいる様子を撮影できます」と美樹さん。庭なら、いつもの笑顔を写真に収めることができる。
人柄が伝わる出来栄えに加え、着物の着付けやヘアメイクも請け負う写真館は多くなく、町内で喜ばれている。これからもレンタルドレスを増やすなどして、衣装から撮影まですべてを提供できるよう、サービスに磨きをかける。
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 田村 彰彦
写真業を営む澤さんは「撮るだけ」ではなく、婚礼写真の顧客を対象にガーデンブライダルなどの提供を始め、さらにヘアメイク、スタイリングといった新たなサービスも計画しています。こうした事業展開は、既存の顧客層だけでなく、潜在的な顧客の持つ特性やニーズを把握する市場(顧客)分析をもとに進めています。「お客さまの満足度を高めたい」と澤さん。そんな思いを今後も具現化し、需要開拓を後押しする支援に取り組みます。
【事業所概要】 ■事業所名:SHIRO NO HACO(シロノハコ) ■住 所:鳥取県岩美郡岩美町大谷2363-3 ■代 表 者:澤 和宏 ■業 種:写真業 ■H P: https://shironohaco.com/ |