地域のチカラ ~伴走支援の現場~
多様なキノコのパワーを生かし、食材でも加工品でも販売
キノコ栽培を手始めに、新しい農業に取り組む株式会社伯耆のきのこ(西伯郡日吉津村)。おいしく栄養のあるキノコを育て、販売するだけでなく、キノコの力を生かした化粧品や入浴剤など、ユニークな商品を開発している。
▼健康食品のキノコで化粧水を
代表の三鴨真樹さんが創業したのは2014年で、ビニールハウス1棟でシイタケの栽培を始めた。4年後には菌床工場を作り、すべての工程を管理して生産できるように。売り上げが伸びるにつれ品種を増やし、今ではキクラゲ、ナメコなど身近なキノコから、タモギタケやヤマブシタケなど珍しいものまで6種類を無農薬で栽培。有機JASの認証を取得し、主に関西・関東のスーパーマーケットや百貨店などで販売している。キノコはビタミンやミネラルが豊富で、カロリーは低く、体を整える機能を持つとして、健康を意識する人に人気が高い。
化粧品の開発は、従業員の「キクラゲのおかげで手がつるつる」という言葉がきっかけだった。成分を調べると、高い保湿効果があると分かり、キクラゲエキス入りの化粧水を作った。2018年にクラウドファンディングで販売すると、使い心地が評判に。顧客からの要望でクリームや石鹸も作り「森くらげ」シリーズとして販売している。
▼入浴剤も開発 アイデア続々
今回は、さらに多くの人にキノコの力を知ってもらおうと、他分野の専門家の助言を得て、キクラゲエキスを含んだ入浴剤を作ることに。保湿成分が20%と、限界まで効き目を増した「KIKURAGE BATH ESSENCE(キクラゲ・バス・エッセンス)」が完成した。
そして、以前から付き合いのあった商工会に相談し、2種類の補助金を申請して、ホームページ作成などに活用した。三鴨さんは「どんな助成金があるのか、事業のどの部分に利用できるのかなど、情報提供でお世話になりました」と話す。高級感のある入浴剤はHPで販売中で、リッチでさらりとした使い心地が注目を集めている。
伯耆のきのこの企業理念は「産業としての農業を確立し、雇用の創出を図る」。みんなが始めたくなる農業、続けていける農業の形を探っている。アスパラガスなどキノコ以外の作物も生産し、耕作放棄地を積極的に使って地元の中学生と共に農作業をするなど活動の幅は広い。
キノコは生鮮食品以外の用途でも開発しており、廃棄するシイタケの軸などを原料にした出汁の素は、社員が「作りたい」と声を上げ、社内ベンチャーとして製品化した。鳥取市内などで販売中だ。キノコのキチン質を使った革のようなシートも、新素材として研究が進む。たくさんのアイデアが続々と実を結びそうだ。
▼経営支援専門員の声 西部商工会産業支援センター 主任 浦辺 貴広
三鴨社長と米子日吉津商工会は創業時から支援を行っていると聞いていますので10年位のお付き合いになります。経営計画の策定、資金繰り、新商品開発、販路開拓と支援を行っています。今年は女性従業員を中心に社内ベンチャーとして、製造するきのこで廃棄していた部分を活用した、万“脳”だしを開発されました。私もその販路開拓をサポートしており令和6年度「食パラダイス鳥取県」特産品コンクールにて食材分の優良賞を受賞されました。
【事業所概要】 ■事業所名:株式会社伯耆のきのこ ■事業内容:農産物の生産、加工、販売、 化粧品の販売 ■住 所:鳥取県西伯郡日吉津村富吉114 ■連絡先 :TEL 0859-30-4157 ■H P :https://houkinokinoko.tottori.jp/ :「森くらげ」オンラインショップ :KIKURAGE BATH ESSENCE オンラインショップ https://richenature.base.ec/ |