地域のチカラ ~伴走支援の現場~
地域密着の姿勢を変えず、人とのつながりをこれからも大切に
鳥取市河原町の町中を通る県道沿いに、昔から地域の人たちが日常的に使っているガソリンスタンドがある。大型のセルフスタンドが増える時代に、昔ながらのスタイルで地域に根付いているクマダ石油。店を営む熊田美秋さんは、先代の義父・熊田恭仁さんから一昨年に事業を承継した。
「旧河原町をはじめ鳥取市内でもここに近い地域の人が昔から来てくださいます。顔馴染みの人も多いので心やすいですし、これからもお店を守っていきたいですね」
先代からの経営理念である「地域密着・地道な経営」を引き継ぎ、今日も笑顔で店に立つ。
▼地域住民や商工会に寄り添ってもらい
3年前から高齢の義父が体調を崩すようになり、後継者が決まっておらず、一時は廃業も考えていた。だが、慣れ親しんだ店を継続してほしいという地域住民からの声が多く、熊田さんが承継を決めた。
「それまで経営していた飲食店をちょうど辞めたところで、お義父さんの店を守りたいという想いがありました。全然違う仕事でしたが、承継のために危険物取扱者の資格を取る勉強をしてみたらそれが面白くてのめり込みました」
事業承継の際、商工会にたくさん助けてもらえたのも大きかったという。専門家派遣制度を活用し、義父から引き継ぐ際の相続権や事業継続のアドバイスを受けた。昨年には鳥取県の産業未来共創補助金を活用し、老朽化していた外観や内観の改修工事を行った。
「店を閉めると思われていたので、常連さんにも『店を継いでやる気が出てきたな』と励まされ、お客さんも少しずつ戻ってきてくれています」
今、仕事が楽しいという。飲食店時代から接客には慣れているが、ガソリンスタンドにもさまざまな人とのふれあいがある。
「7割以上は60歳以上のドライバーで、80代も少なくない。やっぱりセルフでタッチパネル式が何回やっても苦手っていうお客さんも多いんです。来られたらいつもなにげない世間話をするんですね。畑で何が出来たとか、病院に行くとか、買い物相談とか。毎日が面白いですよ」
次のお客さんが来るまでずっと話している人もいるし、作った野菜をいただいたりもする。そんな人に触れ合う仕事がやっぱり好きだなと実感する。
昔は旧河原町に5軒あったスタンドも後継者不足などで今や2軒に減少。地域のお客さんも高齢化が進むなど時代の変化は著しいが、これまでと変わらず大切にしたいことがある。
「やっぱり人とのつながりは大事にしたいです。このお店を継ぐときもたくさんの人に助けてもらったし、一人じゃできなかった。この地域にあってよかったと思ってもらえる店にしていきたいと思います」
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▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 藤井 陽介
今回の事業承継は、「商工会と専門家との連携による経営支援」だけでなく、「地域からの事業存続の要望」や「熊田さん自身の高い志」があってこそ達成できたと感じており、事業を次世代に繋ぐ事の重要性を改めて実感しました。お客様の高齢化や設備更新など、今後解決すべき課題をしっかりと共有し、熊田さんに負けない高い志をもって経営のサポートが出来ればと考えています。
【事業所概要】 ■事業所名:クマダ石油 ■住 所:鳥取市河原町河原85-4 ■連 絡 先:TEL 0858-85-0755 |
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