地域のチカラ ~伴走支援の現場~
古民家を改装し、「和」の温かさが人気の宿に
北栄町の「guest houseたなかそう」は、ふるさとに戻った気分でのんびりくつろげる宿だ。代表の繁原あゆみさんが、祖父母が住んだ家を改装。築60年を超える古民家に、貸し切りで暮らすように滞在できる。
▼空き家を改装し、ゲストハウスに
繁原さんは当時、東京で働いていたが、新型コロナの流行により暮らしが大きく変化。家族と会いづらくなり、都会にいる意味や今後の生き方について考える中で、このタイミングで鳥取に帰ろうと決意し、2021年春にUターンした。
せっかく帰るなら、祖父母の空き家を有効活用し何かできないだろうか。漠然とした想いを抱きつつ、掃除や片付けをしながら、「この空間を生かし、人に喜んでもらうには」と考えるうち、以前に宿泊したゲストハウスを思い出した。もともと旅は好きだし、一日一組に限定すれば一人でも対応できる。子供のころから何度も訪ね、いとこたちと泊まった思い出の家だから、外から人が集まる様子が簡単に想像でき、「宿をやろう」と決めた。
片付けと並行して、Uターン直後から商工会に相談をした。修繕業者を紹介してもらったり、セミナーに参加したり。「売り上げなどの考え方や補助金でも助けてもらいました」と繁原さん。初めてのことばかりで、商工会の支援なしでは難しかった、と振り返る。
▼家の歴史を感じられる宿が誕生
2023年9月、祖父母の名をとった「たなかそう」がオープンした。リビングは天井が高く、むき出しの梁がつややかで、年代ものの和ダンスや地元の民芸品などを置いた。窓からは石灯籠が立つ庭も見える。曾祖父や祖父母が趣味で描いた絵画が各所に飾られ、迫力ある襖絵の隣で布団を敷いて寝ることができる。食事の提供はないが、食材の持ち込みは可能。広いキッチンには家電も多く、田中家で長く愛用していた大皿や、県内の窯元の器を自由に使える。また、道路を挟んで管理棟があるため、とっさの時も対応できる。
ホームページや民泊仲介サイトで予約を受けているが、国内だけでなく、アジアなど国外からも多くの利用がある。実際に人が暮らしていた温かい「和」の空間を、家族やグループで独占して利用できる点が人気だ。自然が豊かな一方、徒歩圏内に飲食店がないなど、不便な点もしっかり伝えている。繁原さんは「来てくれた人に満足してもらいたい」との気持ちを忘れずに、少しずつ宿に手を入れ続け、居心地のよい空間づくりに努めている。
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▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 主任 村本 香住
創業相談に来られてから2年後の開業となりましたが、その間、事業計画の作成や町の創業補助金活用などのフォローを行う中で、「まずは自分でやってみます!」という気持ちを尊重する支援を行ってまいりました。古いものを大切に残されてきたご家族の気持ち、またそれを無駄にすることなくゲストハウスとして活用していきたい繁原さんの気持ち、開業に至るまでのバックグラウンドをこれからも大切にし、今後も寄り添いながら様々な提案・支援を行ってまいります。
【事業所概要】 ■事業所名:ゲストハウスたなかそう ■業 種:簡易宿泊業 ■住 所:鳥取県東伯郡北栄町北尾199-3 ■H P:https://www.guesthouse-tanakasou.com/ |
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