地域のチカラ ~伴走支援の現場~
「とりあえずヤオタニに相談したらえぇが」
元役者が地元密着型企業を事業継承
鳥取県東部を中心に家庭用電気機器を取り扱う八百谷商事㈲(八頭郡八頭町郡家635―1)が事業承継を行い、代表取締役に、先代の息子である八百谷匡洋氏が就任した。
八百谷匡洋氏は、「お客様との信頼関係づくりを大切にするのは先代と変わりませんが、新しいことも取り入れ、さらに身近に感じてもらえる会社を目指します」とした。
同社は、郡家駅前で「nice heartヤオタニ」の看板を掲げ、家電販売・取付や電気工事を主軸にしているが、外構工事、内窓工事、庭木の伐採など家回りの事はすべてを請け負っており、保有資格や施工実績が多い。「家の事で困ったら『とりあえずヤオタニに』」と言われるほど地元に親しまれており、人手が足りないこともしばしば。商工会や独自の伝手で人を集め、スピーディかつ各家庭に寄り添った施工を行うことで、地元に頼りにされている会社だ。
社長に就任した八百谷匡洋氏は「やらなかった者が衰退する。やって初めてスタートラインに立てる」と考え、地域密着の強化に繋がる試みを行った。
最初に行ったのは、顧客管理のデジタル化だ。記憶頼りの管理をデータ化し、スタッフ個人での管理から会社全体での管理に移行した。スタッフ間で情報が共有でき、顧客満足度にもつながると同氏。「新しい家電を購入いただいても、新機能はなかなか使いこなせない。別件で訪問した時に、購入データを確認し、家電の新機能の使い方についてレクチャーするなど、積極的なフォローが可能になりました」と、売り切りで終わらず、アフターフォローまで行う同社の強みが強化された。
次に、公式ラインの開設し、家電の無料相談の体制を強化した。「これは故障なのか?」と疑う症状があれば、ラインに写真や動画を送り気軽に相談できる。開設時から相談の連絡が相次ぎ「言葉で伝えづらい事も、映像で伝えられて便利。素人ではわからない事を専門家にすぐに見てもらうことで不安解消になる」と顧客から好評のようだ。
このように地域密着をさらに強化しようとしたのは「世の中は、最終的に人と人のつながりだ」と、10年間の役者生活で感じたからだと同氏。
もともと人前に出ることが苦手だった同氏は、「自分を変えたい」と思い、一番苦手な分野の役者にチャレンジしたという。
「役を演じることは、その人の人生を生きる事。いろいろな人の人生を生き、いろいろな経験をしました。苦手な分野にチャレンジしたことで自分の幅が広がり、今の仕事にも生きています。その中で、役者も、会社も、地域も、どこの世界も最終的には人と人との繋がりが大切だと感じました。その繋がりの一助になれるような会社でありたいと思います」とビジョンを掲げた。
同社では、子どもが楽しめるイベントや、家電のお得な使い方講座などを企画する予定。店舗を気軽に立ち寄れるコミュニティの場として提供できたらと考えているそうだ。
最後に「地元密着企業なので、地域活性化にも貢献し、ワクワクすることをやっていきたい。そのワクワクを地域全体に広げていきます」と地元愛を語った。
【出典】株式会社 山陰政経研究所 旬刊政経レポート令和7年2月25日号
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 河本 敏宣
この度、事業承継で代表となった匡洋さんはとても明るい人柄で、様々な事にチャレンジしようという行動力のある方です。事業承継以前から、新規顧客獲得の必要性を感じられ、計画策定支援を行いました。「これまでのイメージを刷新したい!」と店舗改装、大型看板の設置、イメージカラーの変更などの取組を実施し、現在もニュースレターや新規イベントの開始などチャレンジを続けています。『お客様の為になる事』を提案し、地域に密着し続ける匡洋さんに今後も伴走していきます!
【事業所概要】
■事業所名:八百谷商事 有限会社
■業 種:電気機械器具小売業
■住 所:鳥取県八頭郡八頭町郡家635-1
■H P:https://r.goope.jp/niceheart/