地域のチカラ ~伴走支援の現場~
「温泉街で食べ歩いて」 三朝町にベーカリーカフェが誕生
▼大好きなクロワッサンで町を盛り上げたい
店長の中川有希さんは神戸市出身。夫の隼(しゅん)さんの故郷である鳥取県が好きになり、「ゆったり暮らせそう」と2022年に夫婦で移り住んだ。温泉組合で働く隼さんに「観光客の滞在時間が短いことが課題」と聞き、周囲からの期待の声もあって「楽しめる場所を作って町を盛り上げたい」と起業を決意。大好きなクロワッサンを中心にしたベーカリーを開くことを決め、昨年6月、株式会社couche(クーシュ)を設立した。
起業の経験はなかったため商工会に相談し、事業計画の基本を学び、物件の紹介を受けた。「準備をどう進めたらいいのか、ひとりじゃ何もわからなかった。心強かったです」と中川さん。元パティシエの隼さんの支援を受けてメニューを考案し、同年12月、温泉本通りの入口に開店した。店名は、丸いパンや、その材料である卵から連想した「円」と、顧客や取引先、地域の人々との「縁」を大切にしたい、との思いを込めてen misasaと決めた。
▼オリジナルの「温泉むすめ」も
食べ歩きにぴったりなパンやドリンクに加え、プリンなどのスイーツもあり、イートインも可能。クロワッサン生地を円盤形に焼いたenロールは、サクサク生地の中にカスタードやチョコなどのクリームがたっぷり。クロワッサンをプレスして焼き、抹茶やチョコで飾ったクルンジは、歯ざわりが楽しく、思わず写真を撮りたくなる大きさだ。原材料の生クリームは大山乳業(琴浦町)、牛乳は岸田牧場(同)と地元産にこだわり、コーヒーはIGNIS COFFEE ROASTER(湯梨浜町)に頼んだオリジナルブレンド。
開店当初は地元の人を中心に列ができたが、だんだんと観光客が増えてきた。全国の温泉地に固有のキャラクターを置くプロジェクト「温泉むすめ」のファンも多く、三朝温泉担当の「三朝歌蓮」がパンを持ち、店の制服を着たオリジナルのバッジなども店頭で販売中。温泉むすめのイベントをきっかけに、これまで店を知らなかった人たちが来店してくれている実感があるという。
パンやスイーツづくりは、気温や湿度で焼き具合などを調整する難しさがあるが、商品を見た人が、わくわくした表情になる瞬間が嬉しい、と中川さん。もっと楽しんでもらえるように、パンの新メニューや新しいグッズなどを考案している。
【事業所概要】 ■事業所名:株式会社couche(en misasa) ■業 種:持ち帰り飲食サービス業 ■住 所:鳥取県東伯郡三朝町三朝911-1(楽寿夢庵内) ■H P:https://couche.co.jp/ |
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