地域のチカラ ~伴走支援の現場~
特別な車に特別なチューニングを 車好きが愛する店
米子市の自動車整備業エヌアールクラフトは、スポーツカーやクラシックカーの愛好家が信頼して車を預ける店だ。代表の永井和幸さんは卓越した技術力と車への愛情で、県外からも顧客をひきつけている。
▼スポーツカーの調整を仕事の軸に
永井さんは、元々は普通の自動車整備工場に勤めていたが、スポーツカーが大好きで、愛車の日産シルビアなどを整備しているうち、スポーツカーの修理や調整の仕事が増え始めた。
スポーツカーは、パワーを追求したり、自分好みに変えたりとチューニングを楽しめるが、調整が難しい。特に高い技術力と経験が必要とされるのがコンピュータセッティングだ。車は、エンジン性能や運転性の向上のため、エンジンやブレーキ、ナビシステムなどを、すべてコンピュータ制御している。そのため部品を一つ変えると、それに合わせたきめ細かい調整が必要になる。さらに、特定の車種に必要な部品は、国内の老舗メーカーが生産しており、メーカーが行う試験に合格し認定を受けなければ扱えない。
永井さんはコンピュータセッティングが得意で、認定制度の初年度に試験に挑み、全国多数の受験者のうち、中国地方では2名しか合格しなかった程の難関を見事に突破。認定店は現在でも鳥取県で唯一で、中でも永井さんは最上級の資格を持つ。実力が評判を呼び、スポーツカーの作業依頼がますます増え、2023年1月に独立して現在の店を開いた。
▼商工会を頼りに 車の楽しさを追求する
独立の検討を始めた頃に、鈑金業の友人に勧められて商工会に加入した。何から始めたらいいのかわからず、「そんな時に頼れる人がいるのは助かりました」と永井さん。補助金の情報を得たり、SNSの専門家を紹介してもらったりと、何かあれば相談している。開業を目指す知人にも加入を勧めた。
現在は8割がスポーツカーやクラシックカー関連の作業で、「永井さん以外に触ってほしくない」と静岡県から愛車を持ち込む顧客も。仕事の依頼は絶えないが、車を触ることが楽しくてたまらず「家に帰るのがもったいない」と笑う。
どんな車に乗るかは、持ち主の自己表現のひとつ。普通車の調整には正解があるが、顧客に合わせた作業には完成形の見本がない。「次のレースでタイムを上げたい」「同じ車の愛好家が集まるので、きれいな塗装で行きたい」などの希望を聞き、新しいものを作る楽しさがある。「その上、お客さんに喜んでもらえたら嬉しい」。
永井さんは、国内サーキットチームの技術者としてピット内で働いたり、ラジコン大会で上位入賞したりと様々な形で車に関わっている。今後は「レーシングチームをつくり、調整した車でレースに出たい」。車の楽しみ方はまだまだ尽きない。
▼経営支援専門員の声 西部商工会産業支援センター 主任 伊藤 伸也
エヌアールクラフトは「車好きから愛されるお店」として、自動車愛好家から絶大な信頼を得ています。訪問するたびに見慣れないスポーツカーやクラシックカーが整備工場に並んでおり、わくわくさせてもらっています。
商工会の支援として、認定工場取得のための補助金申請や課題解決に向けた専門家派遣、各種情報提供などを行ってきました。これからも永井さんの想いに寄り添い、事業の発展に貢献できるよう精一杯努めていきたいと思います。
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【事業所概要】 ■事業所名:エヌアールクラフト ■業 種:自動車整備業 ■住 所:米子市淀江町佐陀702-3 |
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