地域のチカラ ~伴走支援の現場~
人に喜んでもらうことが原動力。
民宿再生から事業多角化に挑戦。
日本海を望む岩美町羽尾地区に、ひときわ個性を放つ宿がある。12年前に大阪から移住してきた間渕武志さん。廃業寸前だった民宿「龍神荘」を再生させただけでなく、素潜り漁師として海に出て、遊漁船業や食品加工にも取り組む。さらに大阪で海産物の販売イベントを開催し、昨年にはうどん店も開業。その活動は多岐にわたる。「お客さんに喜んでもらいたいから」。その想いを胸に、今日も挑戦を続けている。
▼多彩な職歴を経て、民宿再生に挑戦
「常に何かおもしろいことはないかと考えています。職歴は、もう数えきれないほどですね(笑)」
昔から好奇心旺盛。興味や直感の赴くままに、さまざまな仕事に携わってきた。大阪の洋服店を営む家庭に生まれ、「仕事を通して人に喜んでもらう」ことが身近な環境で育った。家業の手伝いをはじめ、居酒屋、スキューバダイビング店、底引き網漁船の船員、旅行添乗員など、多彩な経験を重ねてきた。
「ダイビングの仕事で岩美町には来たことがあったんです。とにかく海がきれいで、四季によって魚が変わる。とても魅力的な場所だと思いました」
地元商工会で仕事の情報を尋ねたことをきっかけに、地域おこし協力隊として移住を決意。民宿の再生という新たな挑戦に踏み出した。昔ながらの雰囲気を生かした“昭和民宿”として打ち出すと、海産物を中心にした食事を強化。近隣の民宿で魚の捌き方や味付けを学び、新鮮な魚をふんだんに提供することで、少しずつファンを増やしていった。
▼うどん屋も開業。挑戦する日々。
とにかく、よく動く人だ。SNSでは、毎朝その日の話題を自ら撮影し、投稿を継続(延べ約3500投稿)。そうした積み重ねの中でも、その発想と行動力はとどまることを知らない。コロナ禍には古民家を改修し、一棟貸しのワーケーション施設「龍神荘 別館 渚」をオープン。弁当宅配や食品加工にも取り組んできた。さらに、JA大阪北部農産物直売所とのコラボイベントで海産物の販売も行うなど、そのバイタリティーには目を見張るものがある。
「いろんなことをやりながら、10年以上暮らす中で地域の変化も感じていて。飲食店も少ないし、みんなのたまり場にもなって、宿の需要にもつながればと思って、商工会さんの手を借りながら補助金を受けて、近所でうどん屋を始めました」
やり始めたらとことん突き詰めるのが間渕流。麺や出汁を徹底的に研究して作り上げたうどんは、コシの強さと深い味わいで人気を集めている。
「次は、漁業体験型のゲストハウスにも挑戦したい。素潜りで獲ったサザエを船の上で食べてもらえたら、きっと喜んでもらえると思うんです。僕自身もやってみたいですしね」
そう言って人懐っこい笑顔を見せる間渕さん。その挑戦は、これからも続いていく。
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 田村 彰彦
「どうすればお客さまに喜んでいただけるか」。その想いを軸に、常に顧客目線に立つ姿勢が印象的である。民宿再生にとどまらず、漁業や加工、飲食へと事業を広げ、それぞれを有機的につなげている点に強みがある。その行動力と発想力は地域に新たな価値を生み出しており、うどん店の開業についても地域課題を踏まえた意義ある挑戦である。今後は各事業の連携による相乗効果が期待され、さらなる発展に向けて支援していきたい。
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■事業所名:昭和民宿 龍神荘 ■業 種:宿泊業、飲食業 ■住 所:鳥取県岩美郡岩美町大羽尾274-1
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