地域のチカラ ~伴走支援の現場~
明るい接客と手料理で元気与える院内カフェ
病院内を進むと目に入るオレンジ色のオシャレな看板。三朝温泉病院2階にある「喫茶オレンジ」は、地域医療を支える病院スタッフや外来患者らにおいしい手料理とコーヒーを提供し、ほっと一息つける“院内のオアシス”として親しまれている。
▼創業を決意
喫茶オレンジを開いた岩山優子さん(60)は、独身時代に北条町と米子市で喫茶店を経営。結婚後は三朝町に住み、会社勤めをしていたが、「定年後はまた喫茶店を開きたい」と思っていた。定年退職を間近に控えた昨年秋ごろ、三朝温泉病院内の飲食店が閉店すると聞き、「病院内なら、スタッフの皆さんや患者さんとじっくりとお付き合いできて、普通に町中で店を出すよりも丁寧な接客ができるのでは」と後を継ぐことを決意。
商工会に相談し、経営支援専門員と一緒に創業計画を練り、町内の補助金を活用して2020年12月に開業した。
▼コロナ禍での創業
岩山さんは「開業まで時間のない中、商工会でどんな支援があるのか教えてもらって助かりました。周りには『コロナ禍にどうして』と言われることもありましたが、体調をきちんとチェックされた方しか入ってこられない病院内は、しっかり感染対策された場所です。それに、外で喫茶店をしていたら出会えなかったような若い看護師さんや理学療法士さんも来てくださるので、うれしい」と話す。
▼みんなを笑顔に
モーニングセットとボリューム満点の日替わり定食を看板メニューに、パスタや軽食も用意。今年5月から職員限定のテイクアウト弁当を始め、仕事の合間にサッと食べられると好評だ。
スタッフだけでなく、外来患者が待ち時間を過ごす場所としても利用されている。受付に「オレンジにいる」と伝えれば内線で呼び出してもらえるシステムで、病院と連携して患者の負担軽減にも貢献している。
岩山さんは「県外や町外から働きに来られている方も多く、ここに来て実家に帰ったようなくつろぎを感じてもらえたら。明るく元気な接客と心のこもった手料理で、みんなに笑顔になってほしい。コロナが落ち着いたら広く地域の方にも来ていただきたい」と目を輝かせる。
▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 主任 蓑原 こずえ
「定年後は喫茶店を開きたい」と相談を受ける中、三朝温泉病院内の喫茶店を引き継がれることになり、支援が始まりました。前経営者から引き継ぎ、オープンまでの期間が短い中、主に設備改修の町補助金や、コロナ感染防止対策の県補助金活用支援を行いました。オープン後に巡回する度に、新しいメニューや取組の話をお聞きし、明るく前向きな姿勢に私も刺激を受けています。オレンジさんの想いである「みんながくつろげる憩いの場の提供」に、少しでもお役に立てるよう支援を行ってまいります。
【事業所概要】 ■事業所名:喫茶オレンジ ■業 種:飲食業 ■住 所:東伯郡三朝町山田690 三朝温泉病院2階 ■営業時間:9時00分~15時00分 |