地域のチカラ ~伴走支援の現場~
SNS活用と刺繍機導入 自ら動いて衣料品のニーズ開拓
旧国道53号線沿いにある、10店舗ほどが軒を連ねるショッピングセンターリバー。その一角にあるファッションプラザコサカは、呉服屋を開いた昭和時代から家族経営で、婦人服、学生服、作業服、寝具、衣料小物などを扱っている。長年、たくさんのお客さんのニーズに応えてきたが、広報や営業を務める小坂美波さんは時代の変化と共に危機感を持っていたという。
「国道53号が新しくなるまでは、関西圏からの海水浴客が立ち寄ってくれ、子どもだった私も商品の浮き輪を膨らます係をするくらいの賑わいでした。今は一見さんが減って、どうしてもお客さんも固定されていました」
そんな状況を打開しようと動き始めたのが約2年前。受注を増やす刺繍機の導入と、SNSのインスタグラムでの情報発信がきっかけだった。
▼細かなこだわりにも応えられる刺繍機
社長の父・宏治さんから外回りの納品や営業を徐々に任され、持ち前のコミュニケーション力を発揮。すると、新たなニーズがあることも知った。
「事業者さんの作業服でも、若い世代に好まれるデザインに一新したいという声が多くあり、それに応えられるようにしたいと思っていました」
もともと外注していた注文服への刺繍を自社で行うために刺繍機を導入。商工会にも相談しながら補助金を活用して、2台目も入れることで仕事の幅が広がった。
「刺繍機が2台になり、圧倒的に効率が上がりました。ミリ単位でデータ変更ができ、色も600色くらいから選べるのでお客様のこだわりに応えられることが増えました」
▼SNSは新たなつながりが生まれる場
新たな動きが生まれ始めた理由を「自分を開いていくこと」と語る。商工会の担当者、中居真里子さんからインスタグラムを勧められ、新たな道がひらけたという。「もともとは自分をオープンにしない方で、最初は怖くて何度勧められても頑なに断っていたんです(笑)。でも、何かを変えなきゃいけないと思って」と、自社の商品や日常の様子を投稿し始めると、お客さんから「インスタグラム、見ていますよ」と言われるようになり、60~70代の来店客が主だったお店にも若いお客さんが増えた。
さらに、インスタグラムで知り合ったハンドメイド作家さんらと手を組み、生まれたのが星取県コラボ商品「CATCH the STARマスク」。星粒ストラップもセット販売し、今や県外からも問い合わせが来るほど人気商品となった。「SNSは店頭や外回りでしか存在しなかったコミュニケーションが生まれる場。気持ちを切り替えたことが大きかったですね。これからも、自分たちの店にできることをやり、周りも巻き込んで一緒に盛り上がっていけたら嬉しいです」