地域のチカラ ~伴走支援の現場~
車検ラインの効率化で生産性向上
かつて『怪談』で有名な小泉八雲も歩いた琴浦町赤碕の界隈は、地縁血縁の強い土地柄に加え、古来から「伯耆往来」の交通の要衝としての面影もある。「コロナの前は、飛び込みの客もけっこう多かったんですよ」と代表取締役社長の澤田和広さん。新車・中古車販売と車検・整備を行う赤碕ホンダ販売㈲は、山陰自動車道の琴浦船上山インターを下りてすぐ。「突然、県外ナンバーの車が『調子がおかしいので診てくれ』と。でも、地元のお客様の車検や修理と重なると、とても手が回らなくて…」。
従業員5人の小所帯で、車検ラインは2人がかりで操作する古い設備。今は地元に長年の顧客がいて順調だが、将来、短期・低料金が売り物の車検チェーン店に食われないとも限らない。
そこで、琴浦町商工会に設備更新の相談で訪ねると、「本当に手取り足取り、教えてくれました」と笑顔がこぼれる。紹介された鳥取県産業成長応援事業の支援を受け、昨年11月、最新の車検ライン設備が完成。1人で車両検査ができ、時間は半分に短縮された。「作業効率やコストの改善もあるが、従業員の休みが増えたのが何よりうれしい」。
澤田社長は18歳で整備工として入社。創業者が病気で急死し、一時は他社に移ることも考えたが、「お客様から『お前はここで頑張れ、応援するから』と励まされ」30代で役員、やがて社長として経営を担うことに。
▼町内の同業者との連携
長年の顧客のほか、町内の自動車販売・整備業5社で結成したコトモビ(琴浦モビリティグループ)の存在も心強い。共同で自動車販売から部品調達、整備まで補い合う。同町商工会担当の井上紀子係長は「普通はいがみ合う同業者が手をつなごうという地域は珍しい。琴浦町ならでは」と胸を張る。
息子の将哉さん(専務)が跡取りとして整備の腕を磨いている。EV化など、進化が続く自動車業界。「ずっと勉強ですよ、それに伴い設備も更新しないと」と決意を語る澤田社長は、「お客様や同業の仲間、商工会の方々など、会社を守ってくれたのは地域の人のつながり。それを忘れてはならない」と口を結んだ。
▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 係長 井上 紀子
赤碕ホンダ販売㈲は20年以上前から商工会に加入しておられましたが、補助金活用は初めてで、巡回の時に「機械が古くて時代の流れに対応できない」が相談の始まりでした。この度の補助金事業によって会社の生産性向上と働き方改革が実現し、会話を重ねることで会員とのつながりもより強くなったように思います。今後は事業承継を視野に、会社が目指す「地域に必要とされる自動車整備工場」を継続していくために商工会は伴走支援をしていきます。
【事業所概要】
■事 業 所 名:赤碕ホンダ販売 有限会社
■業 種:自動車整備業・自動車小売業
■住 所:東伯郡琴浦町赤碕1920
■連 絡 先:TEL 0858-55-2474
FAX 0858-55-2440
■営 業 時 間:8:30~18:30
■定 休 日:日曜日、祭日、第2土曜日
■コトモビHP:http://kotomobi.com/index.html
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