地域のチカラ ~伴走支援の現場~
事業所紹介2021
祖父母から引き継ぎ 人気豆腐店へと成長
鳥取市河原町のどかな田舎で、昔ながらの佇まいで営業する「平尾とうふ店」。あっさりとした木綿豆腐、濃厚でなめらかな絹豆腐、大豆の甘さ引き立つおぼろ豆腐の他、豆乳を使ったソフトクリームやアイスクリームも販売。シンプルだけど、奥が深い。そんな豆腐づくりに魅せられて、代表の平尾隆久さん(34)は、今日も大豆と真剣に向き合う。
▼自身の道を決めた瞬間
鳥取市内で会社勤めしていた平尾さん。「特にやりたいこともなく、なんとなく流されてサラリーマンになりましたが、働いていくうちに、頑張った分だけ評価してもらえる仕事をしたいと考えるようになりました」。しかし、何をしていいのか思いつかずにいたところ、河原町で豆腐店を営んでいた祖父母が、高齢のために店を閉めると言い出した。「それなら自分がする」。24歳、平尾さんが自身の道を決めた瞬間だった。
▼手探りで美味しさを追求
1957年の創業以来、祖父母は窯に薪木をくべて大豆を煮る製法を頑なに守っていた。1年間は修行の身として祖父母のやり方を素直に習った上で、平尾さんは「このままでは続かない」と改革に着手する。
まずは機械を導入して効率化を図り、さらに、全国30カ所以上の豆腐加工会社に見学に行ったり、さまざまな大豆を取り寄せて実際につくってみたりして、手探りで“自分の豆腐”づくりの試行を重ねた。そして、豆腐屋を継いで5年ほど経った頃、平尾さんはようやく「納得してお客様に出せる豆腐」をつくれるようになる。