地域のチカラ ~伴走支援の現場~
地域住民の困りごとに特化「視る」と「聴く」の快適生活を支える
「大切にしていることを言葉にすることは最初勇気がいりました。でも、そうすることで地域の皆様のために何ができるかはっきりとわかってきました」と話す水田祐二さん。
時代の変化とともに、 顧客ニーズや市場動向は様変わり。地域の眼鏡屋として何ができるかを考え、補聴器に特化した店づくりを始めた。今年1月に店舗をリニューアル。新しい看板に「視ると聴くの快適生活をサポートする」という想いを大きく出したのは覚悟の表れだ。「人が困っていることを助けるプロにならないといけませんから」と明るい表情を見せる。
▼高齢化で補聴器に着目
大手量販店が増加する中、この地域の個人店の役割を考えた末に「うちのお客様の多くは60代以上。困っている人も多いかもしれない」と補聴器に着目した。毎月1回メンテナンスをする調整会を開き、持ち運び可能な調整システムを導入してご自宅への訪問サービスを可能にするなど力を入れてきた。
店舗は、県道に面して雑音が入りやすく、さらに売場が事務スペースや荷物置き場と同じ空間にあるなど、悩ましい現状があった。「補聴器の調整は正確な測定をすることが大切で、それができないとお客様に満足な聴こえ方を提供できません。改装前の店舗では難しい面が多かったです」と当時を語る。
鳥取市西商工会の白岩主任に店舗リニューアルを含めた補聴器の販売強化について相談。白岩主任の助言を受けながら、自社の現状確認・経営課題を整理し、補聴器の販売強化に向けた事業計画を策定。その後、鳥取県産業成長応援補助金を活用し、店舗リニューアルや設備導入、販路開拓等を行った。店舗リニューアルは、鳥取県よろず支援拠点の助言を受けながら、店舗レイアウトの改善と防音測定室も整備し、店舗でも補聴器調整会 ができる環境を整えた。水田さんが思い描くのは地域に愛され、事業を通してお客様 の毎日が豊かになること。3世代で仲良く並ぶ家族のイラストも描いた看板にはそんな想いも込めた。
「防音測定室の設置だけでなく、店舗内を清潔感ある空間にしたことで 、ゆっくり待っていただける待合ができ、お客様に喜んでいただいています」と話す。
▼3世代に愛される店へ
「売り上げを上げなきゃいけない、だけどどうしたらいいかわからない。漠然と悩む日々でした」と数年前を振り返る。白岩主任に相談したことで、やるべきことが明確になり、提供するサービスにより一層誇りを持って臨むようになると結果が変わってきた。
「ただ物を売る、売り上げを上げることが目的ではなく、ずっとその人の生活が豊かなものになるようサポートしていくこと。それを本当に考えるようになって、自然と新規のお客様が増えました」と笑顔を見せる。始めた頃は3人ほどだった毎月の補聴器調整会には、朝から晩まで人が途切れない。
最近は若い年齢層の家族連れの来店も増えたと喜ぶ。「補聴器のお客様が増え、眼鏡の購入で子やお孫さん世代が来てくださっているのかもしれません。地域のお店として3世代の家族が快適に暮らしていけるようなサービスを提供し、皆様 に愛していただけるお店にしていきたいです」と目を輝かせる。
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 白岩 英俊
「補聴器を売上の新しい柱にしたい」と相談されたことが、私の支援の始まりでした。思いや課題を整理することから始め、経営者セミナー、専門家派遣などを活用し事業計画を策定。思い描く「地域の『視ると聴く』をサポートするお店」の実現に向け、取り組むべきことを明確化しました。今効果が表れているのは、水田さんが着実に計画を実行されているからに他なりません。今後も商工会は水田さんの夢を応援していきます。
【事業所概要】 ■事 業 所 名:メガネのみずた ■取 扱 商 品:メガネ、補聴器、時計 ■住 所:鳥取市気高町新町1-13-1 ■営 業 時 間:8:00~19:00 ■定 休 日:水曜日 ■連 絡 先:TEL 0857-82-2043 ■U R L: https://r.goope.jp/megane-no-mizuta
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