地域のチカラ ~伴走支援の現場~
事業所紹介2021
新規事業(薪ストーブ販売)への挑戦
終戦直後の昭和20年、満州から南部町に引き揚げてきた祖父が創業。経営理念は「誠実と人情、技術、そして地域貢献」。三代目の大工の棟梁として20代から父の薫陶を受けてきた正洋さんも「腕に覚えあり」の職人だが、家業の将来には一抹の不安があった。
「大工は個人の体力が勝負。組織力、営業力のあるハウスメーカーとどこまで戦えるだろうか。ウチにしかできないものはないか」。突破口を求める中で頭に浮かんだのが、偶然、現場で見た薪ストーブだった。
▼強く背中を押されて
体の芯から温まり、炎のゆらぎが人々の心を癒す薪ストーブは、山陰でも人気が高まっている。だが、高価なストーブの仕入れからフランチャイズ料、店舗開設まで初期投資のハードルは高い。ずっと「夢のまた夢」だった。
そんな胸の内を思い切って南部町商工会に相談すると、「あなたがこうと思ったもので勝負しては」と強く背中を押され、鳥取県産業成長応援補助金の施策活用を紹介され、南部町商工会職員の助言を受けながら事業計画を策定し、認定を受けた。認定後は、埼玉県に全国展開する販売会社も見つかり、フランチャイズ契約。こうして一年前、長年の夢だった薪ストーブの店「アリュメール米子」が誕生した。
▼二刀流へ
建築と薪ストーブのいわば〝二刀流〟の経営。むしろそこに同社ならではの強みがある。「薪ストーブを楽しむには家の広さや構造に合った機種を選び、適切な設置工事やリフォームが必要ですが、大半の工務店にはその知識がない」。「また、定期的な煙突掃除などで顧客との付き合いが深まり、大工の仕事を頼まれることもある」。と佐伯氏は話す。