地域のチカラ ~伴走支援の現場~
新規事業(薪ストーブ販売)への挑戦
終戦直後の昭和20年、満州から南部町に引き揚げてきた祖父が創業。経営理念は「誠実と人情、技術、そして地域貢献」。三代目の大工の棟梁として20代から父の薫陶を受けてきた正洋さんも「腕に覚えあり」の職人だが、家業の将来には一抹の不安があった。
「大工は個人の体力が勝負。組織力、営業力のあるハウスメーカーとどこまで戦えるだろうか。ウチにしかできないものはないか」。突破口を求める中で頭に浮かんだのが、偶然、現場で見た薪ストーブだった。
▼強く背中を押されて
体の芯から温まり、炎のゆらぎが人々の心を癒す薪ストーブは、山陰でも人気が高まっている。だが、高価なストーブの仕入れからフランチャイズ料、店舗開設まで初期投資のハードルは高い。ずっと「夢のまた夢」だった。
そんな胸の内を思い切って南部町商工会に相談すると、「あなたがこうと思ったもので勝負しては」と強く背中を押され、鳥取県産業成長応援補助金の施策活用を紹介され、南部町商工会職員の助言を受けながら事業計画を策定し、認定を受けた。認定後は、埼玉県に全国展開する販売会社も見つかり、フランチャイズ契約。こうして一年前、長年の夢だった薪ストーブの店「アリュメール米子」が誕生した。
▼二刀流へ
建築と薪ストーブのいわば〝二刀流〟の経営。むしろそこに同社ならではの強みがある。「薪ストーブを楽しむには家の広さや構造に合った機種を選び、適切な設置工事やリフォームが必要ですが、大半の工務店にはその知識がない」。「また、定期的な煙突掃除などで顧客との付き合いが深まり、大工の仕事を頼まれることもある」。と佐伯氏は話す。
▼地域貢献へ
今は自宅横に小さな仮店舗を構えており、コロナ禍でお客様とは予約制による個別営業のみだが、これから「薪ストーブ生活の魅力の全てが伝えられる」広い店舗を建設する予定。「薪ストーブが普及すれば間伐材による薪の需要が高まり、鳥取県の林業が元気になる。SDGs(持続可能な開発目標)ですね。雇用も地元で増やしたい」。同社の経営理念「地域貢献」に向けて、正洋さんの〝夢〟はまだ始まったばかりだ。
▼経営支援専門員の声 西部商工会産業支援センター 主任 篠田 陽子
薪ストーブ事業への参入をきっかけに支援が始まりました。佐伯さんの薪ストーブにかける熱い思いを聞き、施策活用のお手伝いをさせていただき、「薪ストーブ専門店 アリュメール米子」が誕生しました。ただ薪ストーブを販売するだけでなく、「薪ストーブを通じて地域に貢献したい」との想いから、様々なことに挑戦される佐伯さんの持続的発展に向け商工会は引き続き支援をしていきます。
【事業所概要】 ■佐伯建築 事業内容:リフォーム・リノベーションetc… 住 所:鳥取県西伯郡南部町福成1103 定 休 日:日曜日 連 絡 先:TEL 0859-66-3120 U R L:https://saeki-kenchiku.com/profile/
■アリュメール米子 事業内容:薪ストーブ販売・設置・煙突掃除 アウトドア雑貨販売 住 所:鳥取県西伯郡南部町福成1103 営業時間:10:00~20:00 定 休 日:なし 連 絡 先:080-1920-6678 |
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