地域のチカラ ~伴走支援の現場~
建設業からサッカークラブチーム運営へ
琴浦町で建設業を営む「岩見組」は、災害復旧や道路改良工事など地域のインフラ整備に努めてきたが、2019年5月、代表の岩見和美さんが他界。当時の状況を和美さんの妻、弥生さんは「船頭のいない船のようでした」と語る。会社の今後を探っていた時、建設業とは全く違う形で“第二の岩見組”をスタートさせたのが、社長の長男、岩見進一郎さん(31)さんだ。
進一郎さんはプロサッカー選手を目指して岡山県の作陽高に進学。卒業後は関西フットサルリーグでプレーしていたがプロの道を断念し、大阪のサッカークラブで指導者を始める。2015年4月、中学生チーム(リーベSCジュニアユース)を立ち上げ後、5年間で関西大会に出場するクラブに成長させた。その後「地元の選手にサッカーの魅力を伝えたい」という目標の為、和美さんの他界を機に鳥取に戻るのであった。
▼サッカークラブの立ち上げ
当初は家業を手伝いながらサッカーチームを運営しようと考えていたが、建設業は弥生さんが対応できる範囲まで縮小させ、スポーツ関連事業を営業項目に加えて、地域密着型のクラブチーム「コラソンリーサ鳥取」を2020年4月に立ち上げた。
商工会で提案を受けた国の持続化補助金を活用し、遊休不動産となっていた資材倉庫を人工芝の室内練習場「コラソンスタジアム」にリノベーションし、練習環境を整えた。
県中部を中心に大山町や鳥取市などから中学生20人、小学生38人が通う。進一郎さんは「サッカーの技術はもちろん、あいさつや人の話を聞く、思いやりを持って行動するなど、“人間力”を身に付けてもらいたい」と話す。
▼2部リーグに昇格
結成からわずか2年、チームは鳥取県U-15 3部リーグで優勝し、来年度からは2部に昇格する。進一郎さんと一緒にサッカーをしてきた地元の仲間たちがボランティアで指導に訪れ、「チームを応援したい」と企業や個人のスポンサーも集まってきている。
「その子に合った教え方でサッカーの楽しさを伝えていきたい」と進一郎さん。「息子が地元に帰ってきてサッカー指導するのは、夫の夢でもありました」と弥生さん。かつてのホームグラウンドだった東伯中学校の校庭で、進一郎さんは今日も子どもたちとボールを追う。その姿を、きっと和美さんは空から見守ってくれている。
▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 主任 林 昌弘
岩見社長から、サッカークラブ「コラソンリーサ」をビジネス展開したいと相談があり、収益性をどう確保していくかを一緒に検討しました。コロナ禍でのスタートとなり、WEBによるクラブ説明会やマスコットキャラクターを使ったビジュアルマーケティングを導入しました。開始から1年半が経過し、加入者数は当初の3倍になる等の成果が表れており、担当者として嬉しく思います。今後も、企業の持続的発展に向けて伴走していきます。
【事業所概要】 ■事業所名:株式会社 岩見組 コラソンリーサ鳥取 ■事業内容:サッカークラブ運営etc… ■住 所:東伯郡琴浦町逢束20 ■連 絡 先:TEL 080-4241-3472 ■U R L:https://amore-corazon-tottori-kotoura.jimdofree.com/
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