地域のチカラ ~伴走支援の現場~
絵本の世界を再現したメルヘンあふれるパン屋
令和3年6月に北栄町役場のすぐ近くにオープンした「ベイクショップ小僧ロップ」は、店主の宮下 到(みやした いたる)さんが創作したオリジナル絵本が「店のコンセプト」という、まるで絵本から抜け出したようなユニークでメルヘンあふれるパン屋。
店のコンセプトになったオリジナル絵本『小僧ロップのシフォンケーキ』は、大学時代から奥さんと一緒に温めていたストーリーをオリジナル絵本として創作。いたずら好きのたれ耳うさぎ『小僧ロップ』が、森の仲間たちや長老のけやきじぃの支えで『ありがとう』という言葉の大切さに気付き、美味しいシフォンケーキと出会う物語。「感謝の気持ち」をテーマに宮下さんが創作したオリジナル絵本の世界観を再現したお店である。
▼創業を決意
宮下さん自身の経歴も面白い。福島県会津若松市生まれ。東京の大学で演劇にはまり、役者を目指していたものの、限界を感じて断念。手に職を付け、いずれ独立できる仕事としてパン作りを選ぶ。都内のパン屋で修業中に大学の演劇仲間だった奥さんと結婚。
子供の誕生をきっかけに奥さんの実家がある鳥取県大山町に移住し、大山町のパン屋で約8年間修業。たまたま通りかかった北栄町で空き店舗を見つけ、北栄町での創業を決意。令和2年12月、商工会に創業相談を行った。
▼商工会へ相談
創業相談を受けた中部センターの藤井主任は「宮下さんから『こんな店をやりたい』といきなり宮下さんが創作した絵本を渡され、面食らいました」と話す。
「絵本の世界をパンで表現したい」という思いを実現するため、藤井主任の助言を受けながら、創業計画・収支計画を策定。藤井主任から「由良宿まちづくり活性化支援事業補助金」の活用提案を受け、同補助金を活用して店舗改装を実施。無事に令和3年6月にオープンとなった。
▼地域への恩返し
「商工会と北栄町が密に連携して支援していただいたことは、本当に『ありがとう』という気持ちでいっぱいです。」「その恩返しではないですが、この町でたくさんの笑顔に出会えるお店にしていきたい。」と当時を振り返る宮下さん。
絵本のキャラクターから命名したパンや焼き菓子も多く、きなこの付いた揚げドーナツは「ひこいちくんのしっぽ」、ロングソーセージパンは「へびのつるおくん」と名付けている。
また、北栄町内の梅津酒造とコラボした柚子焼酎の製造で出る搾りかすを使った商品「柚子とチョコのカンパーニュ」を開発。町図書館で絵本の読み聞かせ会も開くなど、「メルヘンのパン屋」はすっかり町の風景に溶け込んできた。
▼経営支援専門員の声 中部商工会産業支援センター 主任 藤井 陽介
我々の職務は「数字的な計画策定支援」のみならず、「チャレンジに対する自信や勇気を持っていただく事」も重要と考えています。当時の宮下さんは「本当に自分に出来るだろうか?」という不安が垣間見えていましたが、事業計画を策定し、時に笑い話で相談を重ね、自分のやりたいビジネスで勝負できる事を確信されました。域内雇用を創出し、地域振興にも積極的に携わっている宮下さんを、今後も町と連携しつつ応援していきます。
【事業所概要】 ■事 業 所 名:小僧ロップカンパニー ■取 扱 商 品:パン、焼き菓子etc… ■住 所:東伯郡北栄町由良宿493-1 ■営 業 時 間:9:00~18:00 ■定 休 日:火曜日 ■連 絡 先:TEL 0858-33-5297 ■U R L:https://kozolop.business.site/
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