地域のチカラ ~伴走支援の現場~
事業所紹介2022
伝統の刺しゅう技術とオリジナルを生み出す力
物事が長く続くために、いくつか秘訣がある。一つは受け継がれてきたものを大切に続けること。そして、もう一つは時代に合わせた新しい挑戦をし続けることなのかもしれない。刺しゅうに向き合って50年。伝統技法の継承とオリジナル製品を生み出していく行動力をもとに、今日も糸を縫う西本誠さん。
▼積み重ねてきた技術と経験
大学時代に京都でアルバイトから和装の加工技術を学ぶ。着物の半襟や帯揚げ、ウエディングドレスに僧侶の袈裟まで、細かな刺しゅう技術を習得。30代半ばで若桜町に戻り、西本工芸を立ち上げた。
京都の業者との取引からはじめ、学生服や企業向け制服のロゴマーク刺しゅうなどの仕事の幅を広げていった。中でも、針に通らないほど太い糸を使い、裏表を逆にして縫う「裏駒」は今や希少な技法である。「何せ裏側から見ずに縫うから、ほとんど勘。手加減とかわずかなテンションの動きを感じ取って縫わなければいけません」と話す西本さんの顔は技術への自負が滲む。