地域のチカラ ~伴走支援の現場~
生まれ育ったふるさとへ自分ができること
日野郡は戦前からグラウンドの狭い山間部でも練習ができるソフトテニスが盛んで、その強さは全国クラス。長尾万里さん(34)も小学生からラケットを握り、テニス留学した四国の強豪校ではインターハイに出場。そこで知ったのがスポーツトレーナーの存在だ。
▼学生時代の出会い
「学生時代に出会ったスポーツトレーナーは、米国で学ばれた方で、選手が練習を続けながら治癒もできる細やかなケアが印象的でした。」と当時を語る長尾さん。
長尾さんは、自分も学生時代に出会ったスポーツトレーナーみたいに選手のサポートをしたいと決意。高校卒業後は、大阪の専門学校に進学、関西の接骨院やリラクゼーション業界で6年ほど実務の経験を積んだ。
その後、長尾さんは生まれ育った日野町にUターンし、創業することを決意。「周囲からは『なんで?都会の方がお客さんも多いし仕事もあるのに』と皆から言われました。」と笑いながら話す長尾さん。
中学卒業以来ずっと離れていたが、今の自分を育ててくれた大切な町に恩返しができればと思い創業を決意したが、過疎と高齢化が進む町でやっていけるのかと不安があった。
そこで、地元の会社に就職し、仕事の合間に市場調査を行った。「私なりの市場調査ですが、創業しても何とか食べていけると結論がでました。」と創業当時を語る長尾さん。かつて会社経営をしていた父親に相談したところ「商工会に相談してみたらどう?」と勧められ日野町商工会に相談。
日野町商工会に創業の想いや事業計画を伝え、助言を受けながら、資金調達や事業計画のブラッシュアップを行った。相談している中で、商工会職員から提案された日野町の創業支援補助金を活用して実家をアロマの香りが広がりリラックスできる空間に、生まれ変わらせ、令和2年3月に創業。
▼小規模事業者持続化補助金を活用した販路開拓
創業後は、口コミから徐々にお客様に増えてきたが、さらなる販路開拓を目指すため、商工会に再度相談。看板設置・自社ホームページ開設・SNSによる情報発信の提案があり、小規模事業者持続化補助金を活用して、新規顧客獲得に向けた取り組みを実施。
実施後は、新規顧客獲得に繋がり、リピーター客や定期的な施術に繋げることができた。長尾さんは指先の感触で体の不調を探り、丁寧なカウンセリングを通じて、日常生活での姿勢やストレッチによる改善方法などのアドバイスを行いながら、アフターケアなどきめ細やかな対応を心がけている。3名以上が集まれば出張サービスも行っている。
若い世代らしく問い合わせや予約にはSNSも活用するが、「人と人とのつながりを強く感じる町。口コミでお客様が広がってきました」と話す長尾さん。
最近は、鳥取県の女子サッカーなど地元スポーツのサポート役も頼まれるようになり、「帰って来てよかった。今度は私がふるさとのお手伝いをする番」と日々手ごたえを感じている。
▼経営支援専門員の声 西部商工会産業支援センター 主任 浦辺 貴広
私が支援を開始させていただいた時は持続化補助金の実績報告を支援するところからスタートしました。その際には顧客情報や売上の数字を細かくノートに記入をされており、こちらが求める情報がスムーズに提供をいただくことが出来ました。現在は店舗のバリアフリー化に向けて再度持続化補助金に挑戦をしているところですがその際も自ら詳細に経営計画を記入される等、非常に意欲の高い方ですので商工会職員としても支援に力が入ります。
【事業所概要】
■事 業 所 名:もみほぐしゆるみ堂 ■事業内容:リラクゼーション ■住 所:鳥取県日野郡日野町野田273-5 ■連 絡 先:TEL 050―5364-4183 ■U R L:https://yurumidou.com/
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