地域のチカラ ~伴走支援の現場~
事業所紹介2022
「好き」をカタチにした小さなパン屋
泊漁港近くの昔ながらの住宅地に、カラフルで落ち着いた青緑色のユニットハウスが現れる。「昔からパンやお菓子作りが好きで、パン教室をやっていましたが、まさかお店を持つまでになるとは」と話す鎌田忍さんは、一人息子に誇れるものをしたいとパンを作り始め、「好き」という気持ちを形にしてきた人。一念発起してオープンしたパン屋は、近所住民や遠方から足を運ぶファンまでたくさんの人でにぎわっている。
▼コロナ禍で方向転換
5年間ほど自宅でパン教室を開いていた鎌田さん。コロナ禍で生徒の参加も減っていたところ、「実家の土地でパン屋をしたら?」と夫に背中を押され、パン屋をオープンすることを決めた。
お店を始めるときは、まず商工会さんに聞くのが早いと友人に聞いていたため、商工会へ相談。「資金面のことや事業計画の見直しまで、親身になって教えてもらえました」と当時を語る鎌田さん。
当初、大きな店舗を考えていたが、琴浦町商工会の小林主任から「リスクを軽減するためにも、小さな店舗から始めた方が良いのでは」と助言を受け、後でスペースを増やしていけるユニットハウスを採用。立地は「私自身、おいしいと思えば多少遠くても買いに行くから、おいしいパンを作るだけ」と、大好きな湯梨浜町泊にこだわった。「パン屋をオープンすると決意したのはいいが、理想と現実の大きなギャップに、悩むことも多く不安もあったが、気軽に相談できる小林主任がいて本当に心強かった」と話す。
ふたを開けてみれば、当初は1、2時間待ちができるほどの大行列。「それを見て、私のパンにそんなに並ばなくてもいいのに…と思って、嬉しいけど怖くなって手が震えていました」と笑う。