地域のチカラ ~伴走支援の現場~
父から受け継ぐ確かな技術と新たな販路開拓
最近、事業をいかに次世代につなぐかが大きな問題になっている。元気な経営者もやがて年老いる。どの企業もいずれ必ず行き当たる問題だが、特に地方にあっては、産業構造の変化や人口減による先行き不安から後継者が見つからず、そのまま廃業となるケースも少なくない。その点、鳥取市気高町で昭和52年から木製建具の製造やアルミサッシの販売施工を続けてきた村上建具店は「幸せなケース」に入るかも知れない。
▼父から息子へ
親子とはいえ資産譲渡など煩雑な手続きの多い事業承継。白岩主任は、専門家も交えて 側面から支援を実施。親子関係は良く、日頃からコミュニケーションが取れていたこともあり、比較的にスムーズに事業承継を進めることができたが、建設業許可の承継や資産譲渡などの専門的な手続きは、商工会の専門家派遣制度を活用して専門家から助言をいただき、白岩主任のきめ細かな支援を受けながら着実に事業承継へ歩み、令和3年1月に父親から健一さんに無事に事業をバトンタッチ。
▼時代の流れに合った販路開拓へ
事業承継後の健一さんは、新しい会社のロゴマークやネットを使ったPR、キャンバス地のおしゃれなエコバッグのお客様プレゼントなど、自分が得意とするデザインを生かし、新しいお客様を獲得しようと日々邁進。最近では、個人からの直請け受注が増えつつあり、父親の背中を見て育った健一さんは、父親と同じように堅実な経営を継続している。
「もちろん、父から受け継いだ『確かな技術で選ばれる町の建具屋さん』というスタンスは変わりませんが、時代の流れの中で新しいお客様を迎える方策を考えたい」と抱負を語る。
▼今後の展望
実は今、建具やサッシは健康・省エネ・デザイン住宅の関心の高まりから断熱化やリフォームなど新たな需要が期待され、行政による支援制度も増えている。「新築だけでなく、長年住んだ住宅のリフォームを考えているお客様からも気軽にいろいろ相談してもらえる店になれれば」と話す健一さん。
経理担当は母から姉に。今も健在な父親やベテランの職人に今年、大学で建築を学んだ30代の社員も加わった。「山陰自動車道が近いので、地域外にも営業の視野を広げたい」。心強い家族の支えを受けて、若い経営者の夢は膨らむ。
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 白岩 英俊
販路拡大の相談を受けていた中で「息子に事業を譲りたいけど何から始めたら良いか分からんだが…」と、先代の不安な思いを知りました。まずは親子間の意思統一を図り、専門家のアドバイスも交えながら、取り組むことやスケジュールを明確化。その後事業承継に至ることができました。先代から続く「確かな技術と実直な仕事ぶり」で顧客・地域からの信頼が厚い村上建具店を、今後も身近な相談者として支援していきます。
【事業所概要】 ■事業所名:村上建具店 ■事業内容: ①木製建具の製造施工 ②アルミサッシの販売施工 ③小規模リフォーム ④インテリア・エクステリア施工等 ■住 所:鳥取県鳥取市気高町新町2-122 ■連 絡 先:TEL0857-82-3230 ■U R L:https://mura-tategu.com/
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