地域のチカラ ~伴走支援の現場~
サービスの充実で、人も犬も笑顔に
「トリマーの仕事はワンちゃんを綺麗にするだけではないと思っています」と話す田村絢衣さんは、ペットサロンを開いて15年目を迎える。お客様も犬も笑顔で帰ってもらうことを目指しており、施術(トリミング)だけでなく、飼い主さんとのコミュニケーションを通じて、犬との暮らしがより豊かになるようなサービスを心がけている。
▼「綺麗にする」以上の仕事
田村さんは専門学校でトリミングを学んだのち、鳥取市内のペットショップで3年半勤務した経験を持つ。しかし、当時は施術頭数の多さから多忙を極め、飼い主さんと対話できる環境にはなかった。そこで「もっときちんと飼い主さんの相談にも対応したい」と想い、独立してペットサロンを開業した。だが、独立後も受け入れる頭数と施術に追われる時間は日に日に増え、「ワンちゃんや飼い主さんに寄り添う施術からかけ離れていっているような気がして、悔しくて仕事場で涙することもありました」と振り返る。晴れない気持ちのまま時間は過ぎて行ったが、3年前に大きな転機が訪れる。
「数日前に私が施術したばかりのワンちゃんが病気で亡くなったんです。飼い主さんは悲しんでおられたにも関わらず、『最後に綺麗にしてくれてありがとう』と言って下さったんです。嬉しかった半面『普段からもっと自分にできることがあったんじゃないか』と改めて考えるようになりました」と田村さんは語る。
▼犬と飼い主さんと向き合えるゆとり
そんな折、鳥取市南商工会の西尾主任から小規模事業者持続化補助金の案内があった。そして補助金を活用し、従来の施術のみのサービスから「施術」「預かり」「健康面の相談」を一体化した新サービスを始めることを決意。犬を長時間・ストレスフリーな環境で遊ばせられる空間を店内に創設することや料金の見直しを行うことを決め、西尾主任の助言を受けながら計画を策定していった。
補助金の採択後、犬が自由に過ごせるフリースペースが完成。ゲージでの預かりから、フリースペースで遊ばせられるようになり、その様子をSNSに載せることも始めた。
「ワンちゃんはもちろん、家以外で遊ぶ様子を見られることで飼い主さんも喜ばれるし、逆に家で過ごす様子を動画で送っていただけたりもするなど、やりとりや会話が増えたことが嬉しいですね」と話す田村さん。
「単価を上げ、1日にお預かりする頭数を限定することで、ワンちゃんと施術以外の時間も共有できるようになり、私自身も楽しんで仕事をできるようになりました」と嬉しそうに笑う。
「今後もワンちゃんによって苦手なことや、お家では気づけないことなどを飼い主さんへお伝えしながら、『パウダーだからできること』を全力でサポートしていきたい」と話す田村さんの表情は明るい。
▼経営支援専門員の声 東部商工会産業支援センター 主任 西尾 崇志
田村さんの強みは、何といっても「ワンちゃんファーストな優しい人柄」です。今までワンちゃんを預かる際にゲージを使用されていましたが、「お家と同じように安心して過ごしてもらいたい」と考えられ、店内を改装。広いスペースを作り、ワンちゃんが安心して遊んで過ごせる環境を整えられました。
今後も新たな取組を検討中とのことですので、何が一番ワンちゃんと飼い主の幸せに寄与できるかを一緒にまた考えていきたいと思います。
【事業所概要】
■事業所名:POUDER(パウダー) ■事業内容:トリマー ■住 所:鳥取市河原町布袋163-3 ■連 絡 先:TEL 0858-85-1661 ■instagram:https://www.instagram.com/pouderai/
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