地域のチカラ ~伴走支援の現場~
100年後も続く会社を目指して
島根、岡山、広島の3県と山で接する日野郡日南町。先代の福岡 誠一さん(89)が創業した福岡組は、河川工事から林道整備まで請け負う土木建設業者として日野郡エリアで確かな地歩を築いてきた。
▼業務の見直しへ
平成25年に福岡弘貴さん(60)が代表取締役に就任。令和元年には息子の一成さん(32)さんが「祖父や父がやってきた仕事をやりたい」という思いから、事業に従事することになった。
弘貴さんは、一成さんが入社したことで仕事に張り合いが生まれたと嬉しく思う反面、事業を継続していくためにも業務を見直す必要性を感じていた。
同社は、従業員の高齢化、若手従業員の確保、現場作業・工事管理業務の効率化などの課題があり、それに加えて、狭い林道造成工事や災害復旧工事の需要が増加する中で、当社が保有している設備での対応が十分に出来ていない状況であった。
▼商工会へ相談
その課題を克服するための対策を模索しており、日南町商工会の田仲玲子主任に相談。田仲主任は、「社長には商工会事業に色々と協力して頂いたので、事業所の力になりたいと思いました。」と当時を語る。
弘貴さんと一成さんと田仲主任の3人で、現状分析しながら早急に解決すべき課題を洗い出し、田仲主任の提案で鳥取県産業成長応援間接補助金を活用し、管理業務の効率化を図るため、労務単価や変動する資材単価にも対応した最新原価積算システムを導入。また、狭い林道造成工事の需要に対応するため、狭い林道でも小回りの利く油圧ショベルを導入。
導入後は、管理業務の効率化と作業時間の短縮が図れ、時間外労働も減少し、林道造成工事の受注も増えつつある。
▼事業承継に向けた準備
その後、商工会の専門家派遣制度を活用して専門家のアドバイスを受けながら、事業承継計画を策定し、一成さんへの事業承継に向けての準備を着実に進め、100年後も続く会社を目指している。
現在、一成さんが中心になって、若い人材を集めるために同社が完全週休2日制・資格取得制度の実施、福利厚生が充実していることをPRできるホームページ開設を進めている。
一成さんは「若い人たちの目にも留まるサイトにしたいですね」と若手の人材確保に尽力している。
今回支援を受けたことで「商工会に入っていて良かったと実感。田仲さんにはお世話になった」と担当者に温かいエールを送る弘貴さんと一成さん。
▼経営支援専門員の声 西部商工会産業支援センター 主任 田仲 玲子
きっかけは「経営力向上計画」の相談でした。現状ヒヤリングを行うと、原価・労務・業務管理を精緻にされている事に驚きました。その一方で人材不足等の課題もあり、課題解決に向けて補助金を活用し、工事現場と管理業務の生産性を高める提案を行いました。社長と後継者のご長男が将来の話をされる中で、地域・社員・取引先を大切にされる福岡組さんが今後100年続くように、事業承継を見据えた伴走型支援ができればと思います。
【事業所概要】
■事業所名:有限会社 福岡組 ■業 種:総合建築業 ■住 所:鳥取県日野郡日南町生山425 ■連 絡 先:TEL 0859-82-0165 FAX 0859-82-1550 |